量子革命: アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突/新潮社
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[マンジット クマール Manjit Kumar 青木 薫  /新潮社 (2013/3/29)]
[527p/978-4105064310]

[ソルヴェイ会議、EPR論文、ベルの定理、不確定性原理、シュレディンガー方程式、コペンハーゲン解釈]

[単行本][図][057]

この本は凄いな。5百ページ強の大作だけど、
読み始めたらグングン引き込まれ
とうとう読了してしまった。

大学・院で物理を専攻しながら、
ソルヴェイ会議でこれほど濃密な
議論の戦いがあったことをほとんど
知らなかった。知っていたことと言えば
アインシュタインの
「神様はサイコロを振らない」
という台詞だけだった。これとて
物理の最前線についていけなくなった
かつての天才科学者がもらした
ぼやき程度にしか理解していなかった。
うーむ。

事実は全く違うんだね。
ボーアを親玉とするコペンハーゲン解釈と
それに異を唱えるアインシュタインとの
行き詰まる攻防だったんだな。

それにしても、物質の実存を問う
アインシュタインと、観測するまで
対象物そのものは存在自体不明と言い切る
ボーアとの仮想的な思考実験をめぐる
やりとりは息をのむものがあった。

結局このやりとりは、ベルの定理により
白黒は実験でつくことが分かることに
なる。さらに進んでマルチバースに
繋がって行くんだな。
シュレディンガーのネコの話が
マルチバースの世界につながるとは
驚きだな。

青木さんも絶好のネタを見つけた
もんだと思う。翻訳は想像を絶する大変さ
だったと思うが、この本を読んだ
誰よりも
満足したんではないかな。

1年以内にもう一度絶対読むぞ!

PS アインシュタイン論文選「奇跡の年」の5論文
   再挑戦中w