2019年2月15日 午後7時帰宅。
「ただいま。」
・・・
家の中が妙に静まり返っている。
その時間には台所に立って(出来ないなりにも)夕食の準備をしているはずのカミさんの姿が見えない。
2階には人の気配がする。子供たちは帰っているのだろうか?
階段を上がり子供部屋に行くと机に向かって本を読んでいる。
私 「母さんは何処に行ったの?」
子 「え、一階にいないの?」
階段を下りて、もう一度一階を探してみる。
トイレ、居間、台所、寝室。部屋の明かりがつけっぱなしだし、台所も調理道具が出されたままだが、カミさんの姿はない。
庭に出てみる。
カミさんの自転車がない。
やはり出かけたようだ。
元気なころは、たまに近所の奥様の会合に出かけたり、同級生が来て遊びに行ったりしていたし、まだ、7時を回ったところ。
・・・そんなに心配することもないかな。自分を落ち着かせる。
それにしても、家の中が何もかも中途半端な状態でいなくなっているのが気がかり。
午後8時になっても戻らない。さっきから何度も携帯を呼び出しているが出ない。
思い当たる知り合いに片っ端から電話を掛けるが、どこにも行っていない。
近所のスーパーに探しに行くもいない。
スーパーの帰り道、駅前を通ると、救急車が停まっている。
まさか! と思い。そこにいた救急隊員に聞いてみる。
私 「何かあったのですか?」
隊員 「ホームから転落した方がいまして・・・。」
数年前、カミさんが包丁を見つめて台所の隅にうずくまっていた姿が頭をよぎった。
「男の人ですか?女の人ですか?何歳くらいの人ですか?」
矢つぎ早に聞くと隊員もたじろいてしまい。詳しいことは教えられないという。
事情を話しカミさんを探していることを話しても、だったら警察に相談してくれと突き放されてしまう。
「?!」
憤慨しつつも、どの様な人が運ばれてくるのかその場に残っていると、結局誰も運ばれてこないまま、救急車は立ち去って行った。
近所を探しながら家に戻るが、カミさんはまだ帰宅していない。