先日お話いたしました「運用三号」については、
とんでもない方向で話題となってしまいました。
マスコミの扱いは運用三号の問題点そのものより、
大臣のクビの話ばかりとなってしまったのが残念です。
マスコミは何を一番重要に考えるべきなのか?を
再考していただきたいと思います。
さて、その運用三号ですが、
さすがにこの事態となっては変更せざるを得ないとなったようです。
主婦年金救済、全期間で追加納付可能に政府方針:日本経済新聞
http://s.nikkei.com/hN3LEb
(新聞社Webサイトの記事のため、時間経過により
リンク先が削除される可能性があります)
この記事は、厚生労働大臣から出された
「第3号被保険者の記録不整合問題への対応について」
という文書をもとに書かれているようです。
くれぐれも勘違いなさらないでいただきたいのですが、
これはまだ決まった話ではありません。
まだこれから国会で審議をされ採決されて初めて決まりますので
今後、内容が変更される可能性もあります。
行動を早まらないように御注意下さい。
新しい案では、まず申請期間が3年間に定められています。
三号未納と違って、いつ申請しても良いわけではないようです。
これは、御自身がその対象となっていらっしゃるかどうかが
わかりにくいと思われますので、何らかの対応が必要でしょう。
今までのような単純な「広報」では不十分と思われます。
例えば、該当されると思われる方々へ通知を送るなどの
必要が生じると思われます。しかし、それにかかる経費と、
それでも漏れがあった場合にどうするのか?の問題があります。
現に、今でも三号未納の手続きをされていない方がおられます。
年金記録問題がいまだに解決しないのは、ご本人からの申し出がない
という理由も大きいのです。
年金記録の修正は、言うほど簡単に解決するものではありません。
そして、この本来一号であった期間については、
まずはカラ期間とするようです。
それによって、年金受給そのものはできるようになりますが、
当然に保険料未納分については年金額は減額されます。
しかし、実務的にカラ期間の認定をしようと思うと、
対象となる三号期間であることを記録化しておく必要が
あると思うのですが、上記と同じ理由で完全にはできないと
思われますので、その対応を考えておく必要があるでしょう。
そして、このカラ期間に対しては、時効の2年を超えて
保険料納付を可能とするようです。
これについては、全額を一括納付できなかった場合
(仮に10年分となれば簡単に納付できる額ではありません)
分割納付も可能とするようですが、その分割の方法と期間を
どうすべきなのか?という問題があります。
また、その場合の保険料をどうするのか?という問題もあります。
当然、10年前の保険料と今の保険料では今の方が高いですが、
逆に古いものほど利子や追徴金に当たる額の上乗せも考えられます。
例えば、現行法で免除申請をした場合10年前まで遡り納付が可能
となっていますが、この場合、当時の保険料額に一定割合の
加算金が加算されます。
また、全額の追納ができず、一部分のみ追納する場合は
どうするべきなのか?については全く触れられていません。
この一部追納の場合は、どの部分を追納するかによって、
保険料の問題ではない不利益が生じる可能性があります。
そういう可能性にも考慮する必要があると思われます。
さて、マスコミ等で問題とされた時には、
単純に保険料を支払ったかどうかの損得だけの話で
盛り上がっていたようですが、
本当は、問題はそれだけではありません。
おそらく、運用三号という形を取った一番の理由ではないか
と思われるのですが、
該当される方々の相当数がすでに年金を受給されている
という大きな問題があります。
今まで、三号であるという認定で受け取っていた年金が、
大幅に減額される可能性があります。
もし仮に10年分が該当した場合、年間で20万円近い額の
減額となってしまいます。月額にして約16,500円です。
この差は非常に大きなものです。
もし年金だけを頼りに暮らしていらっしゃった場合、
大きく生活環境が変わってしまいます。
まして、今まで余分に受給していた年金を返納しなければ
ならないとなったら、どうすれば良いのでしょう?
冷静な判断を求める必要があると思います。
上に書きましたとおり、マスコミ等では保険料納付の損得ばかり
話題にしていますが、実は第三号被保険者というのは、
自身では保険料を支払ってはいませんが、制度としては
保険料を支払っていることになっています。
誰が支払っているかというと、第2号被保険者の方々全員です。
厚生年金や共済から拠出金という形で支払われているのです。
つまり、制度としては三号の扱いでも損にはなっていないのです。
もし、該当する方々の拠出金が正しく拠出されていたなら、
カラ期間扱いにするのであれば、その方々の拠出金は
それぞれの厚生年金や共済に返納しなければならないでしょう。
しかし、それに関してはどこにも記載がありません。
もし、第三号被保険者の拠出金が名目上のみのもので、
実際には拠出されていないのであれば、それこそ大問題です。
国民年金が破綻して当たり前です。
もしや、今回の「運用三号」はこれを隠ぺいするためのもの
だったのでしょうか?
今後の動きを注視したいと思います。
尚、今回の件に関して、知識人と言われるべき立場の方々が
全くなにも知らないまま無責任に発言されていらっしゃるのは
非常に残念です。
まず、届出義務制にしている事自体は行政の怠慢とは言えません。
各個人の個人情報をそこまで行政が把握しているなら、その方が
よほど恐ろしい世の中です。安易な依存はすべきではありません。
また、社保のコンピュータでは配偶者記録との記録照合はしていません。
これは私が勤務していた当時の事ですので今はわかりませんが、
しかし、問題とすべきなのはコンピュータの導入時点で、
コンピュータの利用方法の認識に誤りがあった(データ蓄積箱
としか考えていなかった)という点です。
この時に民間でのDBの利用方法等をもっと検討していれば、
多くの問題は回避できた可能性があると思うと残念です。
そして、運用三号であれ、修正されたものであれ、
今後悪用できる可能性は極めて低いということです。
委員会でこの問題を追及した議員は外国人の利用という話を
していましたが、荒唐無稽と言って良いほど可能性は低いです。
このような政争の部分を取り上げて騒ぎ立てるのは、
我々国民にとってはプラスとなることはありません。
国民は、下らない話に煽られることなく、賢く間違いを起こさないよう
注視するようにしなければなりません。