メリーランド州立大学で、癌細胞が抗がん剤に対して耐性を持つ機構を働かさようにしようと研究が進められています。

抗がん剤で癌治療を進めていると、ある時点で癌細胞が耐性を獲得し、それまで効いていた抗がん剤さえ効かなくなる事があります。

これはefflux pumpsと読んでいるタンパク質が細胞に発現して、毒性のある物質が癌細胞に届くのを邪魔する為だという事が分かっています。

幸い、このタンパク質が機能する為には外部からエネルギーが必要で、adenosine triphosphate (ATP:アデノシン三リン酸)と呼ばれるエネルギー源が必要になります。

メリーランド大学病院では、この癌に供給されるATPを止めてしまえば、efflux pump が機能しなくなり、癌は耐性を失う。

この間に攻撃剤を投与すれば、一度効かなくなった抗がん剤ででも有効に治療ができる、というもの。

具体的には、癌細胞のミトコンドリア(ここで酸素からATPに変換される)に届くようにデザインされたナノ物質に薬を積んで、薬が癌細胞のミトコンドリアに届いたところで、近赤外線を当てると、ナノ物質から薬剤が出てきて、ATPのが生成を減らし、efflux pump が機能しなくなる。 なので抗がん剤が良く効くようになる、というもの。


このナノ物質で薬剤を運び、目的地で近赤外線を当て、罹患部だけに薬を届けるのは、小林久隆さんの開発した「光免疫療法」でも使われている手法ですね。

今は分子標的薬とか、どんどん薬剤が個別化していますので、こういう全体を包括できるような治療法ってとっても大事ですね。