癌細胞を、人間の免疫細胞(T細胞やNK細胞)がきちんと発見できたら、これら免疫細胞が癌細胞を破壊してくれる。
なんとか免疫細胞に癌細胞を発見させられないか? というのが、最近の免疫療法の研究の最大のテーマです。
この研究から生まれたのが、オプシーボやキイトルーダなどの、
「私は異常細胞ではないから攻撃しないで
」
という、癌細胞が免疫細胞にシグナルを送ってくるPD-1(CD28)という経路を遮断してしまう阻害薬。
これらの薬のお蔭で、癌腫瘍が縮小するなど、治療効果が多くのケースで見られるようになりました。
ところが、やはり一度縮小した腫瘍が、再び拡大したり、転移したりするケースもあります。
PD-1阻害薬だけでは、癌幹細胞(自己複製したり、分化、転移が可能)を攻撃できていないのでは?という研究が進められています。
大多数の癌細胞は、この自己複製や分化、転移する能力を持っていないと言われていますので、この癌幹細胞をどうやったら攻撃できるようになるか?
そこで発見されていたのが新しいターゲットCD47。
癌幹細胞の多くの「僕を攻撃しないで
」シグナルが、このルートで免疫細胞に送られてくるので、このルートを遮断すれば良いのでは?という発想で新薬開発が進められています。
前置きが長くなりました。
ここからが本題。
今回、モントリオール大学では、
「免疫細胞が癌幹細胞を攻撃するには、CD47 を遮断するだけではダメで、癌幹細胞の表面にSLAMF7と呼ばれる分子がないと、免疫細胞は癌細胞を攻撃しない事が分かった。」
と発表しました。
(詳細はこちら)
このSLAMF7は、細胞増殖シグナルを送るタンパク質で、慢性骨髄性白血病では、このSLAMF7 を阻害する薬(グリベックやスプリセル、タシグナ等)で、飛躍的に治療効果が上がっています。
SLAMF7は慢性骨髄性白血病ではない方が良くて、癌幹細胞ではないと攻撃出来ないのですから、なかなか複雑です。