10月末に鉱物情報の観察会があってそれに参加した。マンガン鉱山を回ったが、フェリリーク閃石やら、神津閃石の産地であり、角閃石の仲間を見ることになった。が、黒っぽいものばかりでよくわからないわというのが本音。
で、よくわからないけれど、「なんちゃら閃石」ってどんなものがあるのかということで、FleischerやStrunzを開いて聞いた覚えがある角閃石類のリストを拾い出してみた。備忘録として。
1.直閃石 □Mg2Mg5Si8O22(OH)2 直方
2.カミントン閃石 □Mg2Mg5Si8O22(OH)2 単斜
3a.鉄緑閃石 □Ca2(Mg,Fe)5 Si8O22(OH)2
(ただしMg/(Mg+Fe)<0.5)
3b.緑閃石 □Ca2(Mg,Fe)5 Si8O22(OH)2
(ただしMg/(Mg+Fe)=0.5-0.9)
3c.透閃石 □Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2
(ただしMg/(Mg+Fe)=0.9-1.0)
4.エカーマン閃石 NaNa2(Mg4Al)Si8O22(OH)2
5.アベルゾン閃石 NaNa2(Fe2+4Fe3+)Si8O22(OH)2
6.リーベック閃石 □Na2(Fe2+3Fe3+2)Si8O22(OH)2
7.藍閃石 □Na2(Mg,Fe2+)3(Al,Fe3+)2Si8O22(OH)2
8.エデン閃石 NaCa2Mg5(Si7Al)O22(OH)2
9.普通角閃石 □Ca2(Mg,Fe2+)4Al(Si7Al)O22(OH)2
10.パーガス閃石 NaCa2(Mg4Al)(Si6Al2)O22(OH)2
11.タラマ閃石 Na(NaCa)(Mg3Al2)(Si6Al2)O22(OH)2
12.定永閃石 NaCa2(Mg3Al2)(Si5Al3)O22(OH)2
13.リヒター閃石 Na(NaCa)Mg5Si8O22(OH)2
14.へスティング閃石 NaCa2(Fe2+4Fe3+)(Si6Al2)O22(OH)2
15.フェリリーク閃石 NaNa2(Mg2Fe3+2Li)Si8O22(OH)2
16.プロト直閃石 □Mg2Mg5Si8O22(OH)2
角閃石の仲間にはまだ他にもたくさんあります。Fleischerを開くとたくさんの角閃石が出てきてビックリします。その中にはまだ見つかっていないものもたくさんあります。見つかっているのは100弱個であるようです。
最近、田野畑鉱山からまた新たに日本新産の角閃石類(amphibole)、ウンガレッティ閃石(NaNa2(Mn2Mn3+3)Si8O22O2)が見つかっています(参考4)。
で、上の一覧を見ると直閃石とプロト直閃石の違いは何でしょうか。両方とも結晶系は直方晶なのですが、a軸の長さが直閃石は、プロト直閃石の倍程度であるので、繰り返しの単位が異なっているのかな。
って、よくわからない、まとまらないので、角閃石の一般式を書いておきます。
角閃石類の一般式
AB2C5T8O22W2
A = □,Na,K,Ca,Pb,Li
B = Na,Ca,Mn2+,Fe2+,Mg,Li
C = Mg,Fe2+,Mn2+,Al,Fe3+,Mn3+,Ti4+,Li
T = Si,Al,Ti4+,Be
W = OH,F,Cl,O2-
(価数が限定される元素では価数を書かないのが、鉱物の世界では普通のようで。Si4+,Al3+→Si,Alなど。)
角閃石類は、A,B,Cの元素のところでトータルの価数が+15~17になる構成なんだね。TがSiだけ(Alが入ってこない場合) だと16が本来なのかなあ。
写真 フェリリーク閃石
(NaNa2(Mg2Fe3+2Li)Si8O22(OH)2,岩手県舟子沢鉱山産)
赤黒い針状のもの
リチウム(Li)が含まれるのがリーク閃石の特徴かな
(フェリ → Fe3+、フェロ → Fe2+)
参考
1.松原聰,日本産鉱物種 第8版,鉱物情報(2023)
2.H.Strunz、E.H.Nickel,Strunz Mineralogical Tables 9th ed.,Schweizerwart(2001)
3.M.E.Back,Fleischer's Gllosary of Mineral Species 12th ed.,The Mineralogical Record Inc.(20018)
4.浜根他,鉱要,R1P-11(2022)