角閃石のお仲間 -備忘録として- | なんだかんだの石集めと与太話

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鉱物を初めて手にしたのは、小学生の時。それからずっと中断。
2011年頃より、やっと暇になったので、また石の世界へと羽ばたき始めたけど。

 10月末に鉱物情報の観察会があってそれに参加した。マンガン鉱山を回ったが、フェリリーク閃石やら、神津閃石の産地であり、角閃石の仲間を見ることになった。が、黒っぽいものばかりでよくわからないわというのが本音。

 で、よくわからないけれど、「なんちゃら閃石」ってどんなものがあるのかということで、FleischerやStrunzを開いて聞いた覚えがある角閃石類のリストを拾い出してみた。備忘録として。

 

1.直閃石                   □Mg2Mg5Si8O22(OH)2  直方

2.カミントン閃石       □Mg2Mg5Si8O22(OH)2  単斜

3a.鉄緑閃石              □Ca2(Mg,Fe)5 Si8O22(OH)2  

             (ただしMg/(Mg+Fe)<0.5)   

3b.緑閃石                 □Ca2(Mg,Fe)5 Si8O22(OH)2  

             (ただしMg/(Mg+Fe)=0.5-0.9)

3c.透閃石                 □Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2   

             (ただしMg/(Mg+Fe)=0.9-1.0)

4.エカーマン閃石       NaNa2(Mg4Al)Si8O22(OH)2

5.アベルゾン閃石      NaNa2(Fe2+4Fe3+)Si8O22(OH)2

6.リーベック閃石        □Na2(Fe2+3Fe3+2)Si8O22(OH)2

7.藍閃石         □Na2(Mg,Fe2+)3(Al,Fe3+)2Si8O22(OH)2

8.エデン閃石             NaCa2Mg5(Si7Al)O22(OH)2

9.普通角閃石            □Ca2(Mg,Fe2+)4Al(Si7Al)O22(OH)2

10.パーガス閃石       NaCa2(Mg4Al)(Si6Al2)O22(OH)2

11.タラマ閃石            Na(NaCa)(Mg3Al2)(Si6Al2)O22(OH)2

12.定永閃石              NaCa2(Mg3Al2)(Si5Al3)O22(OH)2

13.リヒター閃石         Na(NaCa)Mg5Si8O22(OH)2

14.へスティング閃石  NaCa2(Fe2+4Fe3+)(Si6Al2)O22(OH)2
15.フェリリーク閃石 NaNa2(Mg2Fe3+2Li)Si8O22(OH)2

16.プロト直閃石   □Mg2Mg5Si8O22(OH)2

 

 角閃石の仲間にはまだ他にもたくさんあります。Fleischerを開くとたくさんの角閃石が出てきてビックリします。その中にはまだ見つかっていないものもたくさんあります。見つかっているのは100弱個であるようです。

 最近、田野畑鉱山からまた新たに日本新産の角閃石類(amphibole)、ウンガレッティ閃石(NaNa2(Mn2Mn3+3)Si8O22O2)が見つかっています(参考4)。

 で、上の一覧を見ると直閃石とプロト直閃石の違いは何でしょうか。両方とも結晶系は直方晶なのですが、a軸の長さが直閃石は、プロト直閃石の倍程度であるので、繰り返しの単位が異なっているのかな。

 って、よくわからない、まとまらないので、角閃石の一般式を書いておきます。

 

角閃石類の一般式

  AB2C5T8O22W2

    A = □,Na,K,Ca,Pb,Li

    B = Na,Ca,Mn2+,Fe2+,Mg,Li

    C = Mg,Fe2+,Mn2+,Al,Fe3+,Mn3+,Ti4+,Li

    T = Si,Al,Ti4+,Be   

 W = OH,F,Cl,O2-

 (価数が限定される元素では価数を書かないのが、鉱物の世界では普通のようで。Si4+,Al3+→Si,Alなど。)

 

 角閃石類は、A,B,Cの元素のところでトータルの価数が+15~17になる構成なんだね。TがSiだけ(Alが入ってこない場合) だと16が本来なのかなあ。

 

写真 フェリリーク閃石

       (NaNa2(Mg2Fe3+2Li)Si8O22(OH)2,岩手県舟子沢鉱山産)

  赤黒い針状のもの

  リチウム(Li)が含まれるのがリーク閃石の特徴かな

  (フェリ → Fe3+、フェロ → Fe2+)

 

参考

1.松原聰,日本産鉱物種 第8版,鉱物情報(2023)

2.H.Strunz、E.H.Nickel,Strunz Mineralogical Tables 9th ed.,Schweizerwart(2001)

3.M.E.Back,Fleischer's Gllosary of Mineral Species 12th ed.,The Mineralogical Record Inc.(20018)

4.浜根他,鉱要,R1P-11(2022)