「うちの嫁さん この前 俺の言うこときいたで。」

「本当か NHKの全国版のトップニュースになるで。うちと同じで 開き直ったまま ストレスが溜まって

ムシムシ食べるだけ。 夕飯食べ終わったあと さあ 少しだけ チョコレートを頂こうかな そんなタイプじゃなかったかな。」

「98% 正解だ。だが この前は違った。食事に行って このスープは コラーゲンたっぷりだから美容にいいぞといったら おれの分まで飲んだ。こっちの温野菜は ビタミン豊富だといったら 全部食べた。

コラーゲンもビタミンも まったく効果はなかったが 酔いの中 俺の言葉の 妙に 素直で健気だったことだけは記憶している。」


そんな彼。先日 酔った帰りに ファスナー付のジャンパーのポケットに手を入れたのだが その手が

抜けなくなった。また 顔と同じで 冗談をやっていると思っていたのだが 本当だった。

酔った顔は 更に赤くなっていった。

「猿じゃあるまいし パーじゃなくて グーにしてみろ。」と他の者がいった。

だが 半開きのファスナーのポケットに突っ込んだ右手は抜けない。

よろよろしながら 必死に抜こうとするが ファスナーは動かない。顔面は 赤唐辛子のようになっていった。

「そのほうが 似合っているから来年の春までそのままでおれ。」の言葉に本気で怒りはじめた。

「あほ ぬかせ!。」

その後 何とか右手は抜けたが そのときの台詞 「死ぬかと思った。」にみんな 顎が外れるほど大笑いした。 いまも皆 顎は外れたままである。


それにしても このような 慢性能天気症のだんなには 病気が取りついても 私のような しつこく根深い病は取りつかないとも感じた次第である。