踊り場の長い病いゆえに それまで元気だった家族には この病気の経過を測るものさしがない。

母親のほうは 不安の中 一心に看病したり身の回りのことをしているが 父親のほうは 不安より先に

苛立ちと 医師への不信感のほうが先立ってくる。

「いくら入院してても治らないじゃないか!。検査ばっかりで先が見えん。」と転院していったケースも何件かあったように記憶する。


宗教に救いを求めていたものもいた。母方の父 祖父がほとんど毎日 病床に来ては拝んでいた。

恥かしいだけの自分だったが 祖父にとって 孫の回復 祈願せずにはいられなかったのだろう。


漢方薬の人もいた。「ちっとも治らん!」と家から漢方薬を持ってきて 呑んでいたのもいた。

そのなかに 自分が呑んでいたのと同じものを呑んでいたものがいた。

私の場合 浮腫がひどく 水分制限されていたとき呑んでいたのだろうか?。

浮腫が余計にひどくなってやめた。その話を彼にすると 彼はうなずき直ぐ止めた。

「その漢方薬。よく効くだろ。」と言ったら その彼たぶん 呑み続けていただろうと思う。

「効く。」となると その漢方薬の入っていた袋まで煎じて呑むかもしれない。

病人の心模様とはそんなものなのだ。


私の場合は本当にひどかった。腹水・胸水・陰嚢まで腫れ上がっていた。

捲るページには「ステロイド服用後 蛋白尿が陰性になると徐々に減らす。」と決まって記されている。

だが、この文頭から文末にいたるまでが どれだけ長くつらいかを心と体で知っているのは この病いとりつかれてしまっている人達か。