救急の現場 その後
9月4日に高山で救命活動を行ったNさんが、今回感じたことをまとめてくれました。
以下彼女からの文章です。
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いつもはBLSを教えている私が実際に院外CPAに対しBLSする立場になって感じた「一般人にBLSを教えること」「社会に働きかけるべきこと」をまとめてみました。
私は看護師とはいえ経験半年以内のド新人であり、救命センターの勤務ではなく病棟勤務なので、ベテランの看護師や救命センターの看護師ならもっと自信を持って蘇生に当たれたと思いますし持った感想も違ったのではないかと思います。急変に当たったことがない私は初めて心停止になられた方に遭遇し、胸圧も初めてしました。
倒れたところは目撃していませんが、異変に気づいて走って戻ったのでその方の傍に行ったときは心停止後1分も経っていなかったと思います。だからでしょうか顔は紅潮し四肢も暖かく、頻呼吸気味の大きな下顎呼吸をしていました。知識で『正常な呼吸をしていない=呼吸なしと判断し胸骨圧迫』というのは知っていましたが、すぐに胸骨圧迫する勇気はなく一度、頸動脈を触れてから胸圧開始しました。正直、開始してからも不安でした。BLSの心得のあるツアコンの方がいらしたので交代要員はいましたが、唯一の医療者である自分がしゃしゃり出て一度イニシアティブを握ってしまった以上、救急隊が到着するまで(した後も?)現場を仕切り続けるしかなかったです。救急隊が到着して、モニター付きAEDが装着されてVFとわかるまでは心停止である確信なきままで不安でした。航空機内で独りで蘇生してトラウマになった方の記事がありますが、バイスタンダーになるということはともすれば責任を一手に引き受けて心停止になった方の運命を握ることであり、目撃ありCPAの蘇生率が10%台であることや救急車の到着に時間がかかる場面も多いことを考えたら大変なことではあると思いました。
幸い私の場合は周りが倒れた方の関係者+神社併設の資料館の職員のみで好奇の目にさらされず現場一帯となって救命に当たれたこと、消防署が近くすぐに救急車が到着したこと、さらに蘇生したこと(消防署情報であり、今どうなってるかはわかりませんが…)によりトラウマになるほどの精神的打撃は受けませんでした。けれど、やっぱり今回のことは精神的に重い体験であったのは事実です(だからこそ日記に書いて表出したし、コメントやいいねをもらうことで救われた部分が大きかったです)。
もし周りに協力者がいなかったり、写真をとられるなど好奇の目にさらされていたり、倒れた方が亡くなっていたらかなりの精神的打撃を受けていたと思います。
助かって本当に良かったです。そして、誰かが倒れて心肺停止になった時、誰もが胸骨圧迫をしAEDが使えることが大切であると身をもって感じました。ただ胸を押すだけでも救える命があることを知ってほしいと思います。
ただし、それなりにバイスタンダーとなることは精神的負担があることを意識し、「助かる」ばかりを強調しすぎると助からなかったとき心に傷を負うと思うのであくまで「救えない命を減らすためにできることがある」という観点から指導すること、助けるべきであるという価値観を押し付けないことが大切だと思いました(モチベーションUPやキャッチーさを考えると難しいところですが)。
と、同時に一般の方に教える場合、できるだけ重要なことを凝縮しシンプルに教えることが大切であると思いました(実際に出くわしたらいろいろ細かなことは考えてる余裕ないです)。ただし、反応がなければ頸椎を保護しつつ安全な場所へ移動した方がいいこと、死戦期呼吸=呼吸なしと判断しCPRを開始することはしっかり具体例を示したり実技をしたりして教えた方がいいと思いました。
一般の方にとって意識のない方を移動することは難しく、胸骨圧迫するのと同じくらい勇気がいることだと思うからです。一般の方は人の呼吸を意識して観察する機会はないでしょうし『正常な呼吸をしてなければ』と言われても一般の方には正常か異常かわからないと思います。
胸骨圧迫とAEDの知識を持っていたとしても患者を安全な場所へ移動し心肺停止と判断してCPRを開始しなければ意味がないです。「心肺停止と判断として胸骨圧迫を開始することができる」ことを一般向け講習の目標に盛り込んだ方がいいと思いました。
社会に対する働きかけの重要性を感じました。今回、ツアコンの方にBLSの心得はありましが、神社にも観光バスの中にもAEDはなかったです。また、地元の方もAEDの場所を知りませんでした。すぐ近くに消防署があるからAEDが配備されてないのかもしれません。けれど、温泉のある観光地というリスクの高そうな土地柄を考えると祭で道路が混雑しているとき、救急車が出払ってるときなどを考えるとAEDは配備してほしいと思います。また、観光産業に携わる人(資料館や神社の職員、旅館や民宿の人、土産物屋さん)にはBLSの心得を持ち、少なくとも自分の働く場所に一番近いAEDの場所くらいは知っておいてほしいと思います。
また、中年~年配の方が多いバスツアーのツアコンの方々にはBLS研修を受けてもらいたいし(今回は受けてらっしゃって助かりました)、観光バスにもAEDは配備されてほしいです(温泉&宴会&観光&バス移動…心停止を起こすリスクは高そうな気が)。
観光地で心肺停止になった人が助かるのはいいことですし、観光都市や旅行者やバス会社にとってもBLS講習を受け、AEDを配備することで「安全な観光都市」や「安全なバスツアー」を売りものにするのはメリットがあり万々歳だと思うんですが。
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PUSHプロジェクト 副委員長 前重 壽郎
以下彼女からの文章です。
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いつもはBLSを教えている私が実際に院外CPAに対しBLSする立場になって感じた「一般人にBLSを教えること」「社会に働きかけるべきこと」をまとめてみました。
私は看護師とはいえ経験半年以内のド新人であり、救命センターの勤務ではなく病棟勤務なので、ベテランの看護師や救命センターの看護師ならもっと自信を持って蘇生に当たれたと思いますし持った感想も違ったのではないかと思います。急変に当たったことがない私は初めて心停止になられた方に遭遇し、胸圧も初めてしました。
倒れたところは目撃していませんが、異変に気づいて走って戻ったのでその方の傍に行ったときは心停止後1分も経っていなかったと思います。だからでしょうか顔は紅潮し四肢も暖かく、頻呼吸気味の大きな下顎呼吸をしていました。知識で『正常な呼吸をしていない=呼吸なしと判断し胸骨圧迫』というのは知っていましたが、すぐに胸骨圧迫する勇気はなく一度、頸動脈を触れてから胸圧開始しました。正直、開始してからも不安でした。BLSの心得のあるツアコンの方がいらしたので交代要員はいましたが、唯一の医療者である自分がしゃしゃり出て一度イニシアティブを握ってしまった以上、救急隊が到着するまで(した後も?)現場を仕切り続けるしかなかったです。救急隊が到着して、モニター付きAEDが装着されてVFとわかるまでは心停止である確信なきままで不安でした。航空機内で独りで蘇生してトラウマになった方の記事がありますが、バイスタンダーになるということはともすれば責任を一手に引き受けて心停止になった方の運命を握ることであり、目撃ありCPAの蘇生率が10%台であることや救急車の到着に時間がかかる場面も多いことを考えたら大変なことではあると思いました。
幸い私の場合は周りが倒れた方の関係者+神社併設の資料館の職員のみで好奇の目にさらされず現場一帯となって救命に当たれたこと、消防署が近くすぐに救急車が到着したこと、さらに蘇生したこと(消防署情報であり、今どうなってるかはわかりませんが…)によりトラウマになるほどの精神的打撃は受けませんでした。けれど、やっぱり今回のことは精神的に重い体験であったのは事実です(だからこそ日記に書いて表出したし、コメントやいいねをもらうことで救われた部分が大きかったです)。
もし周りに協力者がいなかったり、写真をとられるなど好奇の目にさらされていたり、倒れた方が亡くなっていたらかなりの精神的打撃を受けていたと思います。
助かって本当に良かったです。そして、誰かが倒れて心肺停止になった時、誰もが胸骨圧迫をしAEDが使えることが大切であると身をもって感じました。ただ胸を押すだけでも救える命があることを知ってほしいと思います。
ただし、それなりにバイスタンダーとなることは精神的負担があることを意識し、「助かる」ばかりを強調しすぎると助からなかったとき心に傷を負うと思うのであくまで「救えない命を減らすためにできることがある」という観点から指導すること、助けるべきであるという価値観を押し付けないことが大切だと思いました(モチベーションUPやキャッチーさを考えると難しいところですが)。
と、同時に一般の方に教える場合、できるだけ重要なことを凝縮しシンプルに教えることが大切であると思いました(実際に出くわしたらいろいろ細かなことは考えてる余裕ないです)。ただし、反応がなければ頸椎を保護しつつ安全な場所へ移動した方がいいこと、死戦期呼吸=呼吸なしと判断しCPRを開始することはしっかり具体例を示したり実技をしたりして教えた方がいいと思いました。
一般の方にとって意識のない方を移動することは難しく、胸骨圧迫するのと同じくらい勇気がいることだと思うからです。一般の方は人の呼吸を意識して観察する機会はないでしょうし『正常な呼吸をしてなければ』と言われても一般の方には正常か異常かわからないと思います。
胸骨圧迫とAEDの知識を持っていたとしても患者を安全な場所へ移動し心肺停止と判断してCPRを開始しなければ意味がないです。「心肺停止と判断として胸骨圧迫を開始することができる」ことを一般向け講習の目標に盛り込んだ方がいいと思いました。
社会に対する働きかけの重要性を感じました。今回、ツアコンの方にBLSの心得はありましが、神社にも観光バスの中にもAEDはなかったです。また、地元の方もAEDの場所を知りませんでした。すぐ近くに消防署があるからAEDが配備されてないのかもしれません。けれど、温泉のある観光地というリスクの高そうな土地柄を考えると祭で道路が混雑しているとき、救急車が出払ってるときなどを考えるとAEDは配備してほしいと思います。また、観光産業に携わる人(資料館や神社の職員、旅館や民宿の人、土産物屋さん)にはBLSの心得を持ち、少なくとも自分の働く場所に一番近いAEDの場所くらいは知っておいてほしいと思います。
また、中年~年配の方が多いバスツアーのツアコンの方々にはBLS研修を受けてもらいたいし(今回は受けてらっしゃって助かりました)、観光バスにもAEDは配備されてほしいです(温泉&宴会&観光&バス移動…心停止を起こすリスクは高そうな気が)。
観光地で心肺停止になった人が助かるのはいいことですし、観光都市や旅行者やバス会社にとってもBLS講習を受け、AEDを配備することで「安全な観光都市」や「安全なバスツアー」を売りものにするのはメリットがあり万々歳だと思うんですが。
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PUSHプロジェクト 副委員長 前重 壽郎