NATO前事務総長がロシア占領地の一時的割譲を言い始めた
少し前、ゼレンスキーは、ウクライナがロシアに占領された領土についてロシアに取られてもいいような考えを出していた。
●ロシア支配地外の領土をNATO傘下に ゼレンスキー氏、英民放で考え示す
「ウクライナのゼレンスキー大統領は、英民放スカイニューズ・テレビが29日に報じたインタビューで、ロシアのウクライナ侵攻による戦闘を沈静化するには、南部クリミア半島や東部ドネツク州などロシアの実効支配地域を除いたウクライナの領土を「北大西洋条約機構(NATO)の傘の下に置く必要がある」との見方を示した。」
ゼレンスキーは条件としてウクライナにNATO軍を駐留させる条件を提示してロシアとの戦争の幕引きを言明した。
その際、ロシアに占領されたところは、そのままとして領土については、ロシアとの話し合いを言い始めた。
従って、ゼレンスキーに名指しされたNATOは、前事務総長がロシアに占領されたウクライナ領土の一時的な割譲を言い始めたのである。
実質、前事務総長は、NATOとは関係のない立場であるが。
●領土割譲の可能性に言及 ウクライナ和平巡り―NATO前総長
「・・・インタビューで、ウクライナがロシアに占領された領土を一時的に割譲することは、早期の和平実現に向けた選択肢になるとの見方を示した。その場合、NATO加盟などウクライナの将来の安全を保証することが前提になると説明した。」
前事務総長が言っていることは、ゼレンスキーが言明したことと同じことである。
問題はその背景だ。
来年1月20日に発足するトランプ政権は、ウクライナに対する支援をしないとか減らすことをリップサービスしている。
それが背景にある。
目下のところ、ウクライナはロシアの攻勢で押されている。
アメリカ以外のNATO諸国がウクライナ支援をあからさまに言明しているものには、フランスの「レッドラインがない支援」としてウクライナに対する派兵を言っているに過ぎない。
つまり、アメリカをはじめとするウクライナ支援の輪が乱れ始めていることを示す。
それらを背景としてゼレンスキーと前事務総長の言明を考えれば、出てくる答えは、停戦に向かって各国が進み始めていることである。
なぜなら、ドイツの戦車にしてもアメリカのF-16にしても、ウクライナに戦況有利の結果をもたらしていないからだ。言い換えると、ウクライナに支援しても戦争が長引くだけで各国の負担が重いからだ。
戦争が長引く
ウクライナ支援してもウクライナはロシアに勝てることもなければ負けることもない。
そうなっているのもプーチンがそうしているからだと考えている。
だから戦争の結果は、占領したものが示すだけで停戦は別の問題ということだから、前事務総長もロシアに占領されたウクライナ領土をそのままにして一時割譲を認めたうえで停戦が必要だと訴えていることである。
支援ではなく停戦に方向が進んでいる
支援の輪は、来年1月20日のトランプ政権発足から足並みが乱れるのは確実視されている。
それが前提だから、NATOもウクライナも停戦に向かって進むしか選択肢がないと言える。
もし、ウクライナ支援にシフトするなら、停戦ではないからウクライナの反転攻勢が確実視されるほどの効果なしには、意味がない。
現状ウクライナ支援は、効果がない。じわりじわりとロシアが占領地を増やしている。
それに対してフランスが真っ先にほえた。フランスは、ウクライナに派兵も考えていると。
だが、ゼレンスキーの発言を考えれば、停戦に動き出したい意向が読み取れる。フランスはそれを無視しているわけではないから、派兵の話は、ゼレンスキーが停戦の条件として挙げているウクライナ領土へのNATO軍の配備による安全保障のことでしかないと言える。
今は、ロシアに対して駆け引きを続けている感じだろう。ロシアは、西側諸国が具体的な停戦条件を出していないから、無視しているようなものだ。
しかし、ゼレンスキーにとっては、一方的にでも停戦を宣言し、NATO加盟のあるなしにかかわらず、ウクライナにNATO軍を配備したいところなのだろう。
裏を返せば、ウクライナがNATO加盟できなくても、NATOを戦争に巻き込めれば、ロシアは戦争を停止するしかないと考えているのではないのか?
そのためのウクライナ国内にNATO軍を配備するものである。
ゼレンスキーの腹は、停戦条件と称して実質NATO加盟と同じような安全保障を実現したいところではないのか?ーーーNATO加盟できなくても。
ゼレンスキーはNATO軍参戦を提案している
ウクライナ支援の方法として、武器や弾薬などの兵站のほかにNATO軍の参戦をゼレンスキーが模索していることではないのか?
そこまで読めば、プーチンが第三次世界大戦を口にするのもうなづける話だ。
NATOの前事務総長もウクライナ支援にNATO軍参戦を考えていたとすれば、問題は、どのようにNATO軍が戦争に参加できるかにかかっている。
もし、ゼレンスキーの提案にNATOが応じるとすれば、一方的にも停戦をウクライナが宣言し、一方的に停戦ラインを決めて、ウクライナに戦争が再開しないようにNATO軍がウクライナに進駐すればいい。
だが、それは難題だろう。
だが、ゼレンスキーは、そういう考えがないと言い切れない。
停戦ライン
前事務総長も停戦ラインに言及している。
「停戦ラインが、ロシアが全ての占領地を引き続き支配することを意味したとしても、永久にその領土を放棄しなければならないわけではない」
その考えを素直に読めば、とにかく停戦することを目的にしていることがわかる。
他方のロシアは、占領地から撤退して領土の一部に宣言したところのウクライナ4州をウクライナに割譲することはない。なぜなら、領土の割譲をロシア憲法で禁止しているからである。
それがわかれば、ウクライナに占領されているロシアの領土についてもウクライナとの停戦ラインには関係なくウクライナの撤退を求めるだけである。
それゆえ、ロシアが停戦を拒んでも一方的に停戦ラインの設置とウクライナにNATO軍の進駐を実現できれば、ゼレンスキーの勝利にもなりえる。
なぜなら、ウクライナはNATO加盟の条件を整えられるからである。停戦ラインのような形でも戦争を停止すれば、NATO加盟の条件が整うと仮定しての話であるが、問題は、ウクライナにNATO軍を進駐できるかどうかである。
そのためのレッドラインを超えた方法には、フランスがウクライナに軍隊を送ればいいことになる。
停戦が実現すれば、停戦ラインが実現すれば、フランスの事前の派兵は、ウクライナにNATO軍の進駐を進めやすくなる一方、ロシアを刺激して、ロシアの軽はずみなウクライナ支援国に対する先制攻撃などを誘導できれば、ロシアは核の使用も辞さないだろうし、NATOの参戦条件が整うことになる。
それは、のらりくらりと戦争を続けているプーチンに心理的誘導ミサイルのように作用するだろう。
だが、トランプ政権が出来上がってしまうと、ゼレンスキーの思惑は、たぶん実現不可能だし、今からでは、条件が悪すぎるのではないか?
ゼレンスキーの発言以降これといった発言は、NATOから正式に出ていない。っていうことは、前事務総長の発言は、ゼレンスキーの提案に賛成しているだけを表明するだけかもしれない。
一連の動きを考えると、ゼレンスキーは、焦りの色が出始めているのではないか。
負けることはない戦争でも勝てることはない戦争の意味。その戦争の唯一の特効薬がNATO参戦である。
なぜーーープーチンはゼレンスキーの考える停戦に賛成しないからだ。
プーチンが求めているのは、ロシアのSWIFTへの復帰とかロシアへの経済制裁の解除とか、あるいは、ノルドストリームの復活だけだ。むろん、プーチンは西側にあからさまに言うことはしないはずだ。
来年1月20日のトランプ政権発足から面白いことになるかもしれない。
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