1月某日。
いよいよ第2回期日がやってきた。
前回X会長が来れなかったので、審判はなかなか前に進まずほぼ頓挫していた。
当日はX会長も来るはずで、ほどよく緊張していた。
来たら来たで会長節(いらないことをペラペラと喋ってしまう)を期待していたのもあるが…
開廷1時間前に東京地方裁判所の入り口で弁護士と落ち合う。
前回書き忘れていたが、東京地方裁判所では入り口で空港で行うような荷物検査がある。恐らく拳銃や刃物が手荷物にないかの簡易チェックであると思う。
開廷時間まで弁護士待合所で、相手方から送られてきたまたもや大量の準備書面を確かめる。
第1回期日で、決算資料などの不足を指摘されていたので、その補足資料がほとんど。
笑えたのは、会社として解雇の際に申立人に解雇の理由をきちんと伝えていなかったことを反省していると言う書類が…
え??今更なの???
裁判官の心証を良くする為なのか?
弁護士によると特に前回から心証が覆ることはないようだとアドバイスをもらったので、
●質疑は結論からシンプルに即答を忘れずに…
開廷時間も近くなって東京地方裁判所1?階へ。
おお、いたいたX会長と前回も出席したY社長Z部長も。
恐る恐る近づいていくと…?
X会長「よう!でぃー。元気か。お前、とんでもないことをしてくれたな、わははは」
でぃー「はぁ…」
それだけ言って去っていった。
なんなんだ…
5分ほど待機して、案内係から双方へ呼び出しがかかった。
第1回期日とは違う部屋だったが、またまた会議室のような一室に案内された。
第1回期日と同じ裁判官、審判員が既に着席しており、こちらも前回と同じような形で着席した。
(この日はX会長からの聴取がメインなのでX会長がコチラに一番近い位置で…)
開廷の挨拶のあと、X会長が開口一番!
「前回の審判に参加できずに申し訳ありませんでした!!病弱の妻の介護で~(以下5分続く)」
(゜д゜;)ポカーン
驚いたのは、この人の口から『敬語』が聞けたこと!!!
たぶん最初で最後であろう…
どうでもいいんだけど。
そして裁判官は前回Y社長に聞いたようにX会長へも同じように採用~解雇前の経緯を長々と聞き始めた。
長くなりそうだぁ~と思ったが、社長と会長で経緯の食い違いが出ればそれこそボロになるし、どれだけこちらを貶すような言葉や虚言がでるか楽しみだったので、ワクワクしながら聞いていた。
出てくる出てくる!!
1.「勤務態度や業務を見ていて、経歴詐欺だと思った」
やら
2.「進捗報告なんぞ全く聞いてない」
だの
3.「タイムカードや就業規則を勝手に持ち出すなんて情報漏えいでこちらが困っている。訴える。」
とまで。
コチラの言い分としては、
1・2に関して。
経歴詐欺など行っていないし、
自分に見合った仕事の仕方をしてきた。
仕事を行うにあたって経費が必要なものにはきちんと決裁を上げ、
要件やスケジュールも上司に報告した。
きちんと目を通さずに捺印しているのか?と逆に問いただしてあげた。
覚えがないなどと反論していたが、こっちがそう主張している以上聞いていないなどと言う反論が通るわけもなく…
実際に相手方が準備資料としてでぃーの書いたプロジェクト進捗表を印刷してきていたので、
それが逐次上司への報告になっていた証拠にもなってしまった(相手方涙目)のでもう相手方はタジタジですた。
3に関して
タイムカードや就業規則は会社の秘密保持とはならない。
労働者はいつでも閲覧できていつでも確認できなくてはいけない。
X会長は審判員にも労働者の権利ですよこれは…と促されていた。
さらにさらにどんどんボロがでる。
一般的に整理解雇をするには以下の4要件が必須。
A.人員整理の必要性
B.解雇回避努力義務の履行
C.被解雇者選定の合理性
D.手続きの妥当性
会社の経営はかなり悪化していたのでAは妥当だと思われる。
だが問題はBCD。
Bに関しては確かに解雇前に役員報酬を減らしたことも聞かされていたがハローワーク等へ求人を出していた事実がある。
さらに希望退職や配置転換の会社からの提案は全く受けてない。
会社の言い分は「本人はイヤと言うだろう。」
これでは履行には程遠い。
C・Dに関して。
そもそもなぜでぃーだったのか。でぃー辞めることでどれだけ会社の経営が持ち直すのか。
さらに実際に解雇になったのは当日。
明日からもう来なくていいと。役職者4人の前での圧力解雇通告に断りもできず嫌々認めてしまう。
相手方の決算資料。
相手方は第1回期日で解雇の回避努力はしたと主張した。
ボロとは以下の内容。
解雇の回避努力とあるが、今期と前期の役員報酬の額が増えてますが?
との裁判官の指摘。
よく直前に出された準備書面を見ているな~。
XもYもZもその辺はわかっていたくせに何も言い返せない。
解雇前後には「我々は役員報酬を減額し、
会社の発展にいっそう努める」と言い放っておきながら、
結局はそんな事実はなく増額されていた。
(厳密には減らす直前に増額(昇給?)して減ったように見せかけていたようだ。)
自分たちだけ甘い汁を吸っておいて、
吸えなくなりそうになったら阻害要因となっている余剰人員をサクっと削っちまおうって魂胆だったようだ。
本当にひどい会社だ。
クビになって本当によかったわ!
こんな調子で第2回期日の審判も進んで行き、負ける要素もないまま調停へ。
今回でぃーが体験した調停は以下の流れだった。
1.相手方がまず呼ばれ、審判内容が告げられる。支払いの意思を相手方に伺う。
2.申立人が呼ばれ、相手方の支払いの意思を報告される。和解交渉の余地を聞かれる。
3.相手方へ申立人の和解交渉の余地を報告。その和解額で支払いの意思を聞かれる。
(2-3の繰り返し)
4.和解が成立したら双方が呼ばれ、裁判官が審判を下す。
という流れだった。
でぃーの場合は、
『 完 全 勝 利 』。
「不当解雇」も「時間外労働の未払い」が完全に認められた。
請求合計は約200万円。
完全勝利にもかかわらず、X会長はずっと「一銭も払わん!裁判に移行する!」と主張していたらしい。
そう主張している間は、Y社長・Z部長はただただ黙っていただけだったらしい。さすがワンマン経営。
しかし相手方の弁護士さんがX会長を説得し、
裁判にも連れ込んだ場合、付加金の発生や訴訟費用も膨らむことをエサにしたり、
なんとか落としどころを120万にしすることで支払いを渋々認めた。
裁判官が苦笑いしてたけど、相手方の和解交渉時に裁判官がX会長に
「所詮国家の犬」
などと言っていたらしい。
最初のごめんなさいはどこ行ったの?
心証悪くするどころが相手を愚弄するとか本当に会社の経営者としては失格、人を雇う資格なんてないってことですね。
つくづく思いました。
帰りにX会長からでぃーに一言。
「お前の顔は忘れないからな!」
でぃー
「こんな社員がいたってことを忘れないでくださいね^^」
こうして一月某日15時。
相手方は申立人に対し、解決金として120万円を1月末日までに支払えと審判が下されたことで、
でぃーの戦いは幕を閉じたのである。
2月某日。
法テラスからの立替金(着手金126000円・成功報酬126000円)を引いた額がでぃーの口座に無事振り込まれました。
担当していただきました弁護士さまありがとうございました。
総評(これから労働審判をする方へ)
自分に非がない事実に対しては、真っ向から裁判官に正しく簡潔に論ずるべきです。
相手方はでたらめや作り話で、不当解雇や未払い賃金の正当性を主張してくると思います。
冷静にかつ毅然たる態度で相手方の主張を切り崩してください。
-完-