普段使いのスマホがOUKITEL WP6からWP35になりました。共にラギッドフォンと呼ばれるタフネススマホで10000mAhを超える大容量バッテリーとFHD(2408x1080pixel)解像度のディスプレイ搭載です。OUKITELは年に何回も新製品を出すメーカーですけれど、WP6を使っていた人が2024年の夏~秋あたりに同じ使い勝手を求めて乗り換えを検討するとWP35かWP39になると思います。

※レンズとレンズ周りに保護フィルムを貼っています。

WP35/39と同じ5G対応のMediaTek Dimensity 6100+(8コアSoC)を搭載した兄弟機は以下の通り。

WP33PRO バッテリー容量 22000mAh RAM8GB+256GB 重量578g 画面解像度 2408x1080
WP35 バッテリー容量 11000mAh RAM8GB+256GB 重量360g 画面解像度 2408x1080
WP39 バッテリー容量 11000mAh RAM6GB+256GB 重量360g 画面解像度 2408x1080
WP50 バッテリー容量 6500mAh RAM4GB+256GB 重量286g 画面解像度 1612x720
WP52 バッテリー容量 6500mAh RAM4GB+256GB 重量281g 画面解像度 1612x720

WP33PRO

WP35

WP39

WP50

WP52


WP33PROはWP35の1世代前のフラッグシップ機(でも同じ2024年発売なんだけど。SoCが更に上位のWP30PROという機種もあります)で外観のデザインや特徴が4G専用機のWP36と共通します。WP35とWP39は外観が微妙に違う他はほぼ共通で同一機種といっても差し支えない位です。WP39のほうが物理RAMが2GB少なく、カラーバリエーションもグレーとグリーンとブラウンの3色から選べるWP35に対しグレーとグリーンの2色展開。WP39のほうが安いですがWP35との価格差は4~5,000円程度しかありません。WP50はWP35/39とサイズは変わりませんがよりライト路線の下位機種、WP52はWP50のスタイリッシュ版で見た目が一般的なスマホとあまり変わりません(でもラギッドフォンです)。メモリ量と重さに不満が無ければWP39が最もコスパが良いと思います。

WP6のスパルタンな外観デザインからするとWP35はだいぶオシャレになりました。WP6の発売当初は公式映像で油で揚げたりしていましたが今回そんな売り方はしていないようです(笑)。

WP6


仕様上は厚みも重量もごくわずかにWP35のほうが薄くて軽いはずですが、現物を手に持った感触ではサイズも重さも同じです。「筋トレスマホ」と表現していたWP6を毎日持ち歩いていた人なら違和感無く使えるでしょうが、一般的な170g前後のスマホから買い替えると「うっ!重い!」と感じるでしょう。重量が600gに迫るWP33PROはさすがに買う気になれませんでした。



■WP6からWP35ヘ移行して良くなったこと
☆USB Micro-B端子からの解放
一番はこれに尽きます!!WP6最大の泣き所でMicro-B端子が壊れて充電不能になってしまうので何度充電端子基板を交換したことか。WP35はUSB-C端子になったのでPD充電器も使えますし、QIワイヤレス充電にも対応しています。USB-C端子には防水キャップが付いていますが、このキャップが外しにくいです。WP6と同様にUVC対応でアプリを入れれば外部ディスプレイとしても使えます。



☆5G対応&対応バンド向上
これから先3~4年使う可能性を考えると、さすがに4Gまでしか対応しないHelio G99やMT8788搭載機は今回の購入対象になりませんでした。Helio P70搭載のWP6はauのプラチナバンドへの対応が弱い欠点がありましたが、Dimensity6100+搭載機はdocomo/au/softbank共に主要プラチナ3バンドに対応しました。楽天モバイルはプラチナ2バンド対応です。技適認証もあります。

☆RAM 4GBから8GBに
後述しますがMediaTekのSoCがバックグラウンドアプリに厳しいのと、WP6で遊んでいたソシャゲも近年徐々に肥大化してメモリ4GBではたびたび途中で止まっていましたが、これで解決です。よほど3Dでぐりぐり動くゲームで無い限り、「原神」「ウマ娘」「ブルーアーカイブ」程度のゲームなら問題なく遊べると思われます。

☆内蔵ストレージメモリの高速化
コピーがだいぶ早くなりました。動作自体も多少キビキビしました。android14のアニメーションに慣れないので開発者オプションで切ってしまいましたが。

☆Android14
これも時代が進んでWP6のandroid9では使えないアプリがいくつかありまして改善しました。しかしマイナー機種のためBlackmagic Cameraは残念ながら使えません。

☆カメラの性能アップ
WP6もWP35も同世代の高級スマホと比べるとカメラ性能がさほど高くありません。それでも廉価版のAndroid PADに付いてくるような内蔵カメラに比べるとだいぶマシで、SNSやブログにアップするスナップ写真は普通に撮れます。WP35はメインカメラがWP6の32MPから64MPに向上しただけでなく、白黒のナイトビジョンカメラと接写用のマクロカメラが付きました(WP6にもレンズが複数付いているように見えますがあれはイミテーションです)。デフォルトのカメラアプリの使い勝手も向上しており、特に気合を入れてアーティスティックな写真を撮りたいというのでなければ実用上の問題はまったくありません。

☆顔認証
指紋認証に加えて顔認証にも対応しました。しかも認識速度が爆速です。指紋認証と電源ボタンが共通になって使い勝手的にどうなの?と思いましたが悪くありません。


☆スマートキー
左側面に赤い独立したハードウェアキーが付きました。設定によりユーザーが使い方を変更できます。一度押し、二度押し、三度押しで動作を区別でき、スクショやライト、カメラ、音声レコーダー、特定のアプリなどを即時に起動できます。


☆専用ケースが付いてくる
WP6はむき出しで使っていました。個人的にはケース要らずで傷が付いても気にしないのがラギッドフォンの使い方だと思っていますが、WP35には透明保護ケースが付属します。ケースを付けると持った感じが少し大きく感じられ、本体裏面のすべり止め模様の意味が無くなるので個人的にはビミョーです。しかし日本で専用ケースを買うのは難しいと思うので欲しい人は多いはず。


WP6と異なりカメラレンズ部分が凸部になっているので専用ケースを付けたほうが縁が盛り上がり机に置く時多少安心ではあります。


液晶面には買った時から飛散防止で薄いフィルムが貼ってあります。WP6のゴリラガラスは丈夫でかなりの回数落としたにもかかわらず4年近く割れませんでしたが、最後の最後に打ち所が悪かったのかとうとう割れてしまいました。WP35には薄いフィルムの上からノングレアのフィルムを貼りましたがタップやスワイプ動作は良好です。ただし細かい部分の解像度は光沢タイプのフィルムに劣ります。



■WP6からWP35ヘ移行して悪くなったこと
★有線イヤホン端子が無くなった
最近の傾向に沿って3.5mmミニジャックが消えました。Bluetoothイヤホンは確実性に劣り仕事で使っているヘッドホンが使えないので不便です。ネット配信用途でミキサーとの接続にTRRSを使いたい時もあり、USB-CからTRRSへの変換ケーブルを買って使うことになります。試してみたところUSB-C端子にアナログ音声は出ていないようで安価なDAC無しタイプでは音が出ません。DAC内蔵タイプは音が出ましたが、音声端子とは別に充電用のUSB-C端子が付いているタイプを使ってみたところ、音声出力と同時に充電はできませんでした。


充電器を繋ぐと充電接続の認識はしますが、実際には放電が続きます。設定→システム→開発者向けオプション→メディアの「USBオーディオルーティングを無効化」をオンにすると充電しますが、当然音声出力はできなくなり充電速度も遅いです。もっとも私が買ったケーブルが非対応なだけで、充電と音声出力が同時にできる他の製品がある可能性もあります。

★FMラジオ機能が事実上使えない
上記の理由により標準搭載のFMチューナーアプリを起動してもアンテナとなる有線イヤホンケーブルの接続を認識できないためアプリが使えません。USB-C端子にイヤホンを接続しても駄目です。SoC自体には機能があるのでしょうが。

★SIM2枚とMicroSDの同時使用ができなくなった
2枚目のSIMとMicroSDが排他利用になりました。個人的にはauとdocomoを2枚挿ししていたのでちょっと痛いです。もっとも内蔵RAMがWP6の128GBから256GBに倍増しているので128GB以下のSDカードを入れていたなら困らないはずですが。MicroSDは2TBまで対応するそうです。

★スピーカーの音量が下がった?
どちらもモノラルスピーカーですがWP6は背面スピーカーでそこそこ大きな音で鳴らせました。屋外で他人に聞かせる時に一般的なスマホより大音量で使えて便利でした。WP35はスピーカーが下側になり、音量もパーソナル向けになったようです。他人に聞かせる時に大音量で、という用途にはWP33PRO/WP36のほうが向いています。

★電池の持ち
WP6のバッテリーが劣化しているので印象論に過ぎませんが、WP6の購入当時を思い出すとWP35のほうがバッテリー消費が早い気がします。性能が上がっているので消費電力も増えたかな。しかし普通のスマホとは比較にならない大容量なので、バックライトの利用を控えたり省電力モードで使ったりという面倒くさいことを考えずに使えるのは楽で良いです。一度満充電すればかなり頻繁に触っても2~3日は余裕で使えます。

★お値段
WP6購入当時より円安になっていることもあり購入価格がだいぶ上がりました。それでもAliexpressでOUKITELがセールをしている際に買えば3万円前後で買えます。Amazonで買うと結構高いです。ラギッドフォンの良い点はラフに扱っても気にならない所ですが、買い替えを躊躇するような値段の高級機だとこのメリットが出ないと思います。Aliexpressで買った場合、付属の専用急速充電器のACコネクタが中国欧州タイプなので使うなら変換が必要です。


■バックグラウンド動作する常駐アプリが停止してしまう問題
WP6と同じMediaTekのSoCなので同じように常駐系のアプリ(VPNとかネットワーク監視とか充電監視とか)が時間の経過と共に強制的にタスクキルされてしまいます。個人的には通信制限に使っているNoRoot Firewallが落ちて通信が遮断されたり、4G回線でアップロード・ダウンロードに1時間以上かかるような大きなファイルをやりとりしている最中にブラウザやダウンロードアプリが落ちて時間が無駄になるのが困りものです。WP6の時はシステムマネージャーにある電源の最適化と、PLAYストアからインストールできるActivity Launcherを使って隠しアプリであるDuraspeed(タスクキラー)を呼び出して設定していましたが、本機でも以下の手順でアプリ毎に設定が必要です。Dimensity6100+とAndroid14を搭載しているOUKITEL WP39/WP50/WP52も多分同じ方法だと思います。

まずAndroid共通の設定で、設定→アプリ→アプリのバッテリー使用量から強制終了させたくない該当アプリを選んで、制限なし/最適化/制限の3つの中から「制限なし」に設定します。

設定の一番上にある「設定」と「関数」を関数にするとアイコンの中にDuraspeed(タスクキラー)があります。

※設定→アプリ→◯◯個のアプリをすべて表示(すべてのアプリ)→右上の3点メニューからシステムアプリを表示、でDuraspeedを表示する方法もあります。

Duraspeedのアプリのリスト画面の中から該当アプリを選んでオンにします(◯が右側になる状態)。


AndroidのタスクマネージャーでDuraspeedまたは何か適当なアプリを見て、右上の3点メニューから「管理」を選ぶとホワイトリスト画面に入れますので、リストの中から該当アプリの右側にある鍵マークをロックされた状態(ホワイトリストに追加)にします。



Duraspeedの画面上部に機能全体をオフにするスイッチがありますが何故かオフにしても機能するようです。ホワイトリスト設定を忘れないで下さい。バックグラウンド処理しないアプリは設定する必要がありませんが、バックグラウンドでコピーやダウンロードを行うアプリは設定したほうが良い場合があります。Duraspeed画面の右上の3点メニューから制限記録を見るとタスクキルされたアプリとその時間が確認できますので、不調を感じたら調べてみると良いです。


これとは別に開発者オプションの中にもいくつかバックグラウンド動作に関する設定項目がありますが、そこは元の設定のままでも上記の設定で今のところほとんど落ちなくなりました。メモリ8GB積んでるのにケチケチするなよとも思いますが、今までのMediaTek機と同様に回避手段があるだけマシかなとも思えます。
(がんくま)

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