音屋の間で『音屋』と暗喩されるサウンドハウス、音屋でこの会社を知らない者はいない。品揃えは多く、出荷は早く、高価な音響機器だけでなくPAやスタジオで使う変換コネクタやラックなどを格安で用意してくれる所が素晴らしい。自分もよく利用している。

そんなサウンドハウスであるが、千葉県成田市の物流団地内にある実店舗へ行ったことがある音屋はあまりいないと思う。広いショールームに展示してあるデモ機に触れる他、対面式のカウンターで在庫商品を注文し、持って帰ることができるのだ・・・。

 
そこで買ってきたのがCPH3000というヘッドホン。この商品自体については検索するとヘッドホンマニアな方々のページに色々と書いてあるので詳しく述べません。色こそポップだけど見た目はアレだね、という話は他所で読んでね。個人的には値段相応以上に良い音だと思います。一つのヘッドホンで全てをまかなうわけじゃなし、使い分けです。そして被って首を振ってもキシキシ音やカチカチ音がしないのが気に入っています。録音ブース内で使うと音漏れより気になる時あるんですよ、ヘッドホン自体が鳴る音。成田まで行ったのはそれを確かめるためで、上位機種のCPH7000よりこちらのCPH3000のほうが振っても音が鳴らなかったから買ったのです。
サウンドハウスCPH3000特集


で、2年ほど便利に使っていたのですが、イヤーパッドがすぐ外れるようになってしまいました。このパッドはパッド自体の"くせ"で装着するようになっているので、くせの部分がゆるく変形してくると外れやすくなるのですね。

このベロの部分が、


この目立たない溝にはまっているだけ。


サウンドハウスのページで交換部品を探すも見当たらず。もとが3〜4千円位のヘッドホンなので、パッドが劣化したら買い換えろ、ということなんでしょうが、本体に問題がないので捨てるのは忍びない。

そこで、誰しもが考えるであろうこと。

アレの交換用イヤーパッドはこのヘッドホンに付かないのか??

■輸入してみた
なお、アレのメーカー純正消耗部品のイヤーパッドは最初に検討から外れました。純正パッドの値段で新品のCPH3000が買えます。ア○ゾンで検索するといくつか互換品の候補が出ます。なお当然ですがOver Ear用ではなくOn Ear用を探さないと根本的なサイズが合わない。これが良いかなあと思ったのだけれど、


うーん、千円ちょっとか。値段的には出してもいいのだが、納期二週間以上(当時。記事を書くために今見たら一ヶ月以上になっている)ってことは中国から送ってくるんだなァ多分。だったら直接中国の業者に発注するか、とAliExpressで検索してみると、うわ、たくさんある。しかも安い!送料込みで300円代からってこれ原価いくらなんだろ。




「勢い耳!」はOn-Earの自動日本語訳なんだけどなんかツボ。本来なら数を売ってて海外からのフィードバックが多い商品を選ぶべきですが、密林で買おうかと思っていたものに似ているこちらの商品を選びました。



お店はEarSoft Store
https://aliexpress.com/store/4687118
この手のヘッドホン周辺グッズの専門店のようですね。


一組買っても400円位か。消耗品だから二組買っておこう。それでも900円しないし。発注してすぐに先方からもなるだけ早く送るよ、と確認のメッセージが来た。実際に注文から発送まではとても早かったが、現地を出てから日本に届くまでまでは新型コロナウイルスの影響でいつもより少しだけ時間がかかり、5月16日注文で21日に中国を出発、6月10日に自宅に届いた。


開封するとちゃんと2組4個入ってた。


右側の元々CPH3000に付いていたものと比較すると、左の輸入品は中央部分の布地の色が鮮やかなオレンジ色からシックな茶色に。この茶色はブルーよりホワイトモデルに合いそう。


大きさは微妙に小さい気がするけど、前のが伸びているだけかもしれない。周囲のベロの部分が長い(広い)。なんかに似てると思ったらアワビだなこりゃ。


見た目の厚みはさほど変わらないが(写真ではベロの部分の硬さで元のほうが高く見える)、指で押すと新しいほうが気持ち薄く感じる。


エクセーヌ状の生地は新しいほうが細かくしっとりした肌触りだが、これも経年で元のが劣化しただけかも。
こっちが新しい輸入品。


こっちが元付いていたほうです。


■実装タイム
元のやつも何度か付けているのだけど、とんでもなく付けにくいんだこれが。ベロの部分を溝にひっかけてグルリと円周にはめるだけなのだけど、さっき溝に入れた所から次々に外れていく感じ。最初は溝に引っ掛けつつ、最後は引っ張ってベロを溝に被せ、ギターのピック状のもので溝に押し込みます。ベロ部分が交換前のものより柔らかく、ここが経年で固くなったのが外れやすくなった原因かもしれない。で、一度付けたら自然には外れなければ良いのだけれど、装着具合が悪いとすぐ外れるし、繰り返し付けていると生地が伸びてくるし、と、どうにも好きにはなれない仕組みです。この付けにくさが交換部品を用意しない理由だったりして。


交換後の感想。耳触りは新しい輸入品のほうが良い。圧迫感も新しいほうが少ないのに、遮音性はわずかに新しいもののほうが高く、その分低音の印象が増して高い方のヌケが落ちた。まあ、細かいレベルの話で、交換翌日には忘れている程度の微妙な違いという印象です。



汚れたり破れたりしてももう一組あるので安心ですが、出来れば付け直しはしたくない。当ブログの結論としては「アレのやつは付く。が、付け替えにはちょっと苦労する」です。

■後日談
2021.3.13追記
交換後も何度か外れたり付けたりを繰り返しましたが(丁寧に使っていれば外れないのですが、なにせ使い方が荒い)、換装9ヶ月目にしてベロの部分が裂けました。


あまり丈夫なものでは無いようです。予備も含めて買っていて良かった。安価なので、輸入される方は複数個買っておくほうが良いと思います。

2022.4.10追記
昨年交換したイヤーパッドはまだ使えています。しかしいずれまた交換が必要なことは間違いないし、なんやかんやでCPH-3000重宝しているので、本体が壊れたらまた買い直したいと思い追加でイヤーパッドを2セット、同じ店にオーダーしました。今回はシノトランス→佐川急便の一番早いルートで4/1注文品が4/8に届きました。円安になって値段は1セット533円になりましたが送料は無料。

このヘッドホンはステレオミニプラグの外径が細く、イヤホンジャックが凹んだ所にあるスマホや機材でも使えるのが良いです。なお、一度だけ屋外同録にCPH-3000を持っていったことがありますが、音質どうこう以前にイヤーパッドが外れやすい構造で、かつ外れると付け直すのに手間がかかることから、残念ながら屋外同録のヘッドホンには向いていません。

2024.05.03追記
本記事中でさんざん外れやすいと書いているイヤーパッドですが、両面テープを使うことで外れにくくする工夫があるようです。具体的な話は下記の関連記事をご覧ください。

(がんくま)

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