5バンドステレオ仕様のPEQ(パラメトリックイコライザー)です。モノラルにすれば10バンドで使うこともできます。

元々は「片ch音出ず」ということで、一昨年に開催した音響機器の修理ワークショップの題材として取り寄せたのですが、プッシュスイッチの接触不良が原因で回路自体は生きている事が判明したので、はんだ付けを伴う本格的な修理を見るための題材としては不適、とその後放置になっていました。今どき単体のPEQを現場で使う機会も少ないのか、ジャンク品にもかかわらず全体的な使用感は少なく程度は良いです。
分解は、天板を外したりフロントパネルを外したりするところまでは簡単ですが、それ以降はポジドライブの1番ドライバーが必要です。一般的なフィリップス型のプラスドライバーだとネジ頭をナメます。特にサブパネルのサイドを止めている6本の皿ネジが堅締めされていて、どうしても1本回らずナメてしまったのでドリル処理となりました。皿ネジ部分を取り去り後、M3でタップをかけましたが、この部分のネジは柔らかい鉄製で、またナメそうなので国産のM3x8mmの皿ネジに交換しました。

フロントパネルの内側には大量のボリュームがサブパネルに止めてあり、これを全部外したり付けたりするのをラジオペンチでやっていると埒が明かないので11mmのディープソケットかソケットドライバーが必須です。トグルスイッチの付け外しに8.5mmのソケットドライバーもあったほうが良い。

内部の基板は電源トランスとキャノンコネクタが付いている電源・入出力基板と、イコライザー基板に分かれます。DN-410はデフォルトで3番ホットの機械です。アンプや録音機と違って3番ホットのまま使っても特に問題が生じるものではありませんが、2番ホットに切り替えておくのも良いですね。
【参考】DN-410の3番ホットと2番ホットを切り替える方法
http://crawlsbackward.blogspot.com/2016/01/klark-teknik-dn-410-equaliser-xlr.html
なお、当家のDN410は上の参考URLの個体のようなトランスを搭載していないので、出力はアンバランスです。

イコライザー基板は片chあたり2枚の基板が上下にはんだ付けで組になっているものが2セットあります。ソケットのように見えますがソケットにはなっておらず?連結部分の数が多いので、これを外すのはかなりの苦労です。外さずに修理したいところです。

デュアルチャンネル仕様のDN-410に対し、シングルチャンネル仕様DN-405はこの上下2段の基板が1セットのはずです。


一番上の基板の赤丸部分のコネクタが余るのは仕様なので、フラットケーブルの分解組み立て時には挿し間違いに注意が必要です。また、このフラットケーブルは何度か曲げていると圧着部分で簡単に切れてしまうので、丁寧に取り扱う必要があります。
接触不良になっている多段プッシュスイッチは12本足のロック付き(押すとON状態・OFF状態のままになる)のもので、音響機器や測定機などに使われていますが、秋葉原の部品屋では最近あまり見かけないパーツで入手に難儀します。

しかも全部で12個もある上に、前述のように2枚組のイコライザー基板を上下に分けようと思えば多数のハンダ付けを外さねばならずかなり面倒で、分解や交換はあまり現実的ではありません。やむを得ず手抜きをして隙間から接点復活剤を注入して様子を見ることにします。

基板が重なっていない部分のスイッチの青い部分に力をかけて少し開いてみると隙間が開くので、ここにDeoxIT D5のノズルを挿し込んでプシュー。しかし、2個目にして早くも力のかけ具合を誤り失敗。バラけてしまいました。

こうなるともう取り外すしかありません。外す時に熱を加えすぎないように注意したにもかかわらず、接点の金属板の列がヨレてしまって再生不能です。

電子部品商社の日川電機のページ(http://www.hikawadenki.co.jp/pickup/)に載っていたスイッチがDN-410に使われているものと良く似ているので問い合わせてみました。その結果、こちらの部品はALPS電気の"SPUJ193700(4回路・セルフロック・ノンショート・ストレート端子スイッチ)"という部品であるらしいことが判明。修理に必要な個数は1個ですが、予備品を加えて10個発注し、日川電機さんから取り寄せできました。

なお、同社はスイッチ類に限り個人にも販売しているということで、ALPS社やC&K社等の多段プッシュスイッチの入手にお困りの方は相談してみてはいかがでしょうか(基本的には法人向けの部品会社ですので、個人の修理で利用する場合は自己責任でお願いします、とのことでした)。同部品の仕様書も見せていただきましたが、はんだ付けの条件は手はんだの場合「温度(℃) 350 ± 10、時間 (s) 3 +1/0」となっていますから、取り外しの際に吸い取り線で丁寧にやっていると変形してしまうようです。交換時は手早くはんだ付けを行いました。

それ以外のスイッチには注射器を使って左右前側の隙間からスイッチ内部へDeoxIT D5を注入します。結果、接触不良は無くなり正常動作に戻りました。
また、故障ではありませんが、イコライザー基板の下側を支えるスペーサーが溶けて灰色の粘土のようにケース内に流れ出しており、掃除が大変でした。



イコライザー基板は多数のボリュームでサブパネルにしっかりと固定されているので、スペーサーが消滅しても基板下面がケース内部の金属面にすぐ接触するようなことはなさそうですが、危険ではあります。

この灰色の物質はサンハヤトのハイシャワーで溶けるのできれいに拭います(余談ですがハイシャワーも製造終了したようですね)。溶け出したスペーサーの代わりは糊付きのスポンジゴムで代用します。


この溶け出しは他の個体でも起こっている可能性があるので、この機種を持っている方は一度確認してみたほうが良いかもしれません。

自らのミスで修理内容が増えてしまいましたが、無事修理完了です。本記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いいたします。
(がんくま)

元々は「片ch音出ず」ということで、一昨年に開催した音響機器の修理ワークショップの題材として取り寄せたのですが、プッシュスイッチの接触不良が原因で回路自体は生きている事が判明したので、はんだ付けを伴う本格的な修理を見るための題材としては不適、とその後放置になっていました。今どき単体のPEQを現場で使う機会も少ないのか、ジャンク品にもかかわらず全体的な使用感は少なく程度は良いです。
分解は、天板を外したりフロントパネルを外したりするところまでは簡単ですが、それ以降はポジドライブの1番ドライバーが必要です。一般的なフィリップス型のプラスドライバーだとネジ頭をナメます。特にサブパネルのサイドを止めている6本の皿ネジが堅締めされていて、どうしても1本回らずナメてしまったのでドリル処理となりました。皿ネジ部分を取り去り後、M3でタップをかけましたが、この部分のネジは柔らかい鉄製で、またナメそうなので国産のM3x8mmの皿ネジに交換しました。

フロントパネルの内側には大量のボリュームがサブパネルに止めてあり、これを全部外したり付けたりするのをラジオペンチでやっていると埒が明かないので11mmのディープソケットかソケットドライバーが必須です。トグルスイッチの付け外しに8.5mmのソケットドライバーもあったほうが良い。

内部の基板は電源トランスとキャノンコネクタが付いている電源・入出力基板と、イコライザー基板に分かれます。DN-410はデフォルトで3番ホットの機械です。アンプや録音機と違って3番ホットのまま使っても特に問題が生じるものではありませんが、2番ホットに切り替えておくのも良いですね。
【参考】DN-410の3番ホットと2番ホットを切り替える方法
http://crawlsbackward.blogspot.com/2016/01/klark-teknik-dn-410-equaliser-xlr.html
なお、当家のDN410は上の参考URLの個体のようなトランスを搭載していないので、出力はアンバランスです。

イコライザー基板は片chあたり2枚の基板が上下にはんだ付けで組になっているものが2セットあります。ソケットのように見えますがソケットにはなっておらず?連結部分の数が多いので、これを外すのはかなりの苦労です。外さずに修理したいところです。

デュアルチャンネル仕様のDN-410に対し、シングルチャンネル仕様DN-405はこの上下2段の基板が1セットのはずです。


一番上の基板の赤丸部分のコネクタが余るのは仕様なので、フラットケーブルの分解組み立て時には挿し間違いに注意が必要です。また、このフラットケーブルは何度か曲げていると圧着部分で簡単に切れてしまうので、丁寧に取り扱う必要があります。
接触不良になっている多段プッシュスイッチは12本足のロック付き(押すとON状態・OFF状態のままになる)のもので、音響機器や測定機などに使われていますが、秋葉原の部品屋では最近あまり見かけないパーツで入手に難儀します。

しかも全部で12個もある上に、前述のように2枚組のイコライザー基板を上下に分けようと思えば多数のハンダ付けを外さねばならずかなり面倒で、分解や交換はあまり現実的ではありません。やむを得ず手抜きをして隙間から接点復活剤を注入して様子を見ることにします。

基板が重なっていない部分のスイッチの青い部分に力をかけて少し開いてみると隙間が開くので、ここにDeoxIT D5のノズルを挿し込んでプシュー。しかし、2個目にして早くも力のかけ具合を誤り失敗。バラけてしまいました。

こうなるともう取り外すしかありません。外す時に熱を加えすぎないように注意したにもかかわらず、接点の金属板の列がヨレてしまって再生不能です。

電子部品商社の日川電機のページ(http://www.hikawadenki.co.jp/pickup/)に載っていたスイッチがDN-410に使われているものと良く似ているので問い合わせてみました。その結果、こちらの部品はALPS電気の"SPUJ193700(4回路・セルフロック・ノンショート・ストレート端子スイッチ)"という部品であるらしいことが判明。修理に必要な個数は1個ですが、予備品を加えて10個発注し、日川電機さんから取り寄せできました。

なお、同社はスイッチ類に限り個人にも販売しているということで、ALPS社やC&K社等の多段プッシュスイッチの入手にお困りの方は相談してみてはいかがでしょうか(基本的には法人向けの部品会社ですので、個人の修理で利用する場合は自己責任でお願いします、とのことでした)。同部品の仕様書も見せていただきましたが、はんだ付けの条件は手はんだの場合「温度(℃) 350 ± 10、時間 (s) 3 +1/0」となっていますから、取り外しの際に吸い取り線で丁寧にやっていると変形してしまうようです。交換時は手早くはんだ付けを行いました。

それ以外のスイッチには注射器を使って左右前側の隙間からスイッチ内部へDeoxIT D5を注入します。結果、接触不良は無くなり正常動作に戻りました。
また、故障ではありませんが、イコライザー基板の下側を支えるスペーサーが溶けて灰色の粘土のようにケース内に流れ出しており、掃除が大変でした。



イコライザー基板は多数のボリュームでサブパネルにしっかりと固定されているので、スペーサーが消滅しても基板下面がケース内部の金属面にすぐ接触するようなことはなさそうですが、危険ではあります。

この灰色の物質はサンハヤトのハイシャワーで溶けるのできれいに拭います(余談ですがハイシャワーも製造終了したようですね)。溶け出したスペーサーの代わりは糊付きのスポンジゴムで代用します。


この溶け出しは他の個体でも起こっている可能性があるので、この機種を持っている方は一度確認してみたほうが良いかもしれません。

自らのミスで修理内容が増えてしまいましたが、無事修理完了です。本記事を参考に修理をされる場合は自己責任でお願いいたします。
(がんくま)