日本マランツといえばオーディオマニアなら誰でも知っているメーカーですが、ほとんどの場合民生用のオーディオ機器のメーカーとしての知名度だと思います。そのマランツが "marantz PROFESSIONAL"というブランド名でガンマイクを売っているのをご存知でしょうか。今回取り上げるのはそのマランツ製ガンマイクのオプションとして販売されているウィンドシールド(風防)、マウントシステムのZP-1です。
製品情報:http://inmusicbrands.jp/marantz_pro/zp-1/
ZP-1の市販価格は2万円ちょっと。マイク本体ならともかく、マイクの風防に2万円もかけないでしょ、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、業界定番、ほぼ同等の構成のRycote製のガンマイク用風防は15万円位しますから、2万円は相当破格なお値段です。そして、分かる人には分かると思いますが、"marantz PROFESSIONAL"ブランドで売られている風防やブームポールは、RODE社のマイク用オプションとして売られているものに酷似しています。ZP-1はRODE BLIMPとそっくりですが、BLIMPですら国内の売価は3万5千円程度なので、見た目通りの働きをしてくれるならば、ZP-1が一番安い製品となります。なお、当のマランツ製のガンマイクは残念ながら使ったことがなく感想がありません。

というわけでZP-1を買ってきました。仕事先では何年もRycote製の風防を使ってきましたが、個人用にカゴ風防を買うのは初めてです。同梱されている説明書を見ても英語、ドイツ語、スペイン語などで日本語の表記がありません。国内向け市場は最初から重視されていないのかも。

ショックマウントのサイズは公称20~22.5mm用となっていますので、22mm径のRODE NTG-1には良いですが、19mm径のSENNHEISER MKH-416やMKH-8060を使う場合はマイクの外周にビニールテープを巻いたりスポンジを噛ませたりしないとぬるっと外れます。逆に25mm径で太いSENNHEISERのAMBEO VRマイクは無理やり吊れました。とは言え購入時、交換用のゴムバンドは付属していますが、マイクを差し込むプラスチックリングは予備が付属しませんので、無理をしてリングを割ってしまうとだいぶ困ります。
さて、実際にマイクを吊るしてロケで使ってみた所、問題が発生しました。私が購入した個体は、前後方向に揺らす分には問題がありませんでしたが、左右方向に小刻みに揺らすと「ぺりぺり」と薄い膜が剥がれるような音がしました。小さな音ですが、高感度なマイク用の製品なので、これでは仕事で使えない、というレベルの欠陥でした。なお、他の方が別の店頭展示品を試した限りでは同様のぺりぺり音はしなかったそうなので、私が買ったものがたまたま「ハズレ」だった可能性があります。耳をすますと、どうもカゴの円筒の下部とホルダー周囲のプラスチックの継ぎ目から音がしている様子。隙間にドラフティングテープを突っ込んだり、シリコンのシール剤を充填したりしてみましたが音は消えず。

ドラフティングテープが貼ってあるあたりの隙間から音がする。
分解してみた所、接着剤が少量しか使われておらず、剥離した接着剤の膜がぺりぺりという音の原因となっていることが判明しました。カゴ部分はポリプロピレン製で、接着剤が苦手とする材質です。見た目では乾燥した瞬間接着剤のような薄いビニール状の膜になってしまっています。





円筒の4辺とホルダー周りのプラスチック、前後の丸枠に付いている接着剤をドライバーの先で全て剥がし、紙やすりで面を荒らしてからアセトンで拭って脱脂し、"セメダインスーパーXハイパーワイド"を塗って組み直しました。この接着剤はポリプロピレンも接着しますが、硬化しても体積が減らない上に完全に硬化せず柔軟性を保つので、今回のような用途には向いているのではないかと思われました。できればこの接着剤で接着した後、更に残った細い隙間や角になっている凹み部分をシリコンシーラントで塞げば確実でしょう。



これで悩まされたぺりぺり音が消えたので、再度現場へ投入しました。

毛皮(ジャマー)のサイズがやや小さめで、強く引っ張らないと装着できません。これは使っているとそのうち伸びて解決するのではないかと思っています。毛は長めで、当然ながら未装着時よりも高域が落ちますが防風性能はなかなかのものです。今までは強風防としてRODEのWS6を使っていましたが、さすがにワンランク上の性能です。買ってよかった。注意点としては、毛皮の下側の開口部(グリップが突き出る所)にジッパーが無く、ぴたりとは閉じません。強風時はそこから風が回るので、シビアな用途ではベルクロなどを縫い付けて隙間が広がらない工夫をしたほうが良さそうです。
屋外録音の時、カゴ風防とセットで使うブームポールには、Amazonで7、8千円で買える中国製のカーボンブームポール(3m)を使っています。昔からebayで"Andoer"というブランドで売られていたものと同一で、実際に購入すると"JIE YANG(捷洋)"というブランドになっています。浙江省寧波市にある宁波捷洋影视器材有限公司というメーカーの製品のようです。

マイク用のブームポールもプロの間で評価が高いvdb製などは8~10万円位します。映画やドラマの画角であればもう少し長くて丈夫なものが欲しくなると思いますが、一般的なロケであれば今の所これで問題ないです。同じ長さならアルミ製ポールよりも軽く(重さ559g)、寒い日にも冷たくなりません。

ロケ音声の先達のアドバイスに従って、先端部にゴムワッシャーを追加(締め過ぎで外れなくなるの防止)。

下端部にゴム足を追加(置いた時に床が傷付くの防止)。

グリップ部分の中間部に追加のウレタンスポンジリングを装着(スポンジが無い部分との段差を触った時に振動でノイズが入るの防止)。

長く使っているとスライド部の滑りが悪くなるので、ホコリの多い現場へ行った後は分解して掃除します。
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製品情報:http://inmusicbrands.jp/marantz_pro/zp-1/
ZP-1の市販価格は2万円ちょっと。マイク本体ならともかく、マイクの風防に2万円もかけないでしょ、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、業界定番、ほぼ同等の構成のRycote製のガンマイク用風防は15万円位しますから、2万円は相当破格なお値段です。そして、分かる人には分かると思いますが、"marantz PROFESSIONAL"ブランドで売られている風防やブームポールは、RODE社のマイク用オプションとして売られているものに酷似しています。ZP-1はRODE BLIMPとそっくりですが、BLIMPですら国内の売価は3万5千円程度なので、見た目通りの働きをしてくれるならば、ZP-1が一番安い製品となります。なお、当のマランツ製のガンマイクは残念ながら使ったことがなく感想がありません。

というわけでZP-1を買ってきました。仕事先では何年もRycote製の風防を使ってきましたが、個人用にカゴ風防を買うのは初めてです。同梱されている説明書を見ても英語、ドイツ語、スペイン語などで日本語の表記がありません。国内向け市場は最初から重視されていないのかも。

ショックマウントのサイズは公称20~22.5mm用となっていますので、22mm径のRODE NTG-1には良いですが、19mm径のSENNHEISER MKH-416やMKH-8060を使う場合はマイクの外周にビニールテープを巻いたりスポンジを噛ませたりしないとぬるっと外れます。逆に25mm径で太いSENNHEISERのAMBEO VRマイクは無理やり吊れました。とは言え購入時、交換用のゴムバンドは付属していますが、マイクを差し込むプラスチックリングは予備が付属しませんので、無理をしてリングを割ってしまうとだいぶ困ります。
さて、実際にマイクを吊るしてロケで使ってみた所、問題が発生しました。私が購入した個体は、前後方向に揺らす分には問題がありませんでしたが、左右方向に小刻みに揺らすと「ぺりぺり」と薄い膜が剥がれるような音がしました。小さな音ですが、高感度なマイク用の製品なので、これでは仕事で使えない、というレベルの欠陥でした。なお、他の方が別の店頭展示品を試した限りでは同様のぺりぺり音はしなかったそうなので、私が買ったものがたまたま「ハズレ」だった可能性があります。耳をすますと、どうもカゴの円筒の下部とホルダー周囲のプラスチックの継ぎ目から音がしている様子。隙間にドラフティングテープを突っ込んだり、シリコンのシール剤を充填したりしてみましたが音は消えず。

ドラフティングテープが貼ってあるあたりの隙間から音がする。
分解してみた所、接着剤が少量しか使われておらず、剥離した接着剤の膜がぺりぺりという音の原因となっていることが判明しました。カゴ部分はポリプロピレン製で、接着剤が苦手とする材質です。見た目では乾燥した瞬間接着剤のような薄いビニール状の膜になってしまっています。





円筒の4辺とホルダー周りのプラスチック、前後の丸枠に付いている接着剤をドライバーの先で全て剥がし、紙やすりで面を荒らしてからアセトンで拭って脱脂し、"セメダインスーパーXハイパーワイド"を塗って組み直しました。この接着剤はポリプロピレンも接着しますが、硬化しても体積が減らない上に完全に硬化せず柔軟性を保つので、今回のような用途には向いているのではないかと思われました。できればこの接着剤で接着した後、更に残った細い隙間や角になっている凹み部分をシリコンシーラントで塞げば確実でしょう。



これで悩まされたぺりぺり音が消えたので、再度現場へ投入しました。

毛皮(ジャマー)のサイズがやや小さめで、強く引っ張らないと装着できません。これは使っているとそのうち伸びて解決するのではないかと思っています。毛は長めで、当然ながら未装着時よりも高域が落ちますが防風性能はなかなかのものです。今までは強風防としてRODEのWS6を使っていましたが、さすがにワンランク上の性能です。買ってよかった。注意点としては、毛皮の下側の開口部(グリップが突き出る所)にジッパーが無く、ぴたりとは閉じません。強風時はそこから風が回るので、シビアな用途ではベルクロなどを縫い付けて隙間が広がらない工夫をしたほうが良さそうです。
屋外録音の時、カゴ風防とセットで使うブームポールには、Amazonで7、8千円で買える中国製のカーボンブームポール(3m)を使っています。昔からebayで"Andoer"というブランドで売られていたものと同一で、実際に購入すると"JIE YANG(捷洋)"というブランドになっています。浙江省寧波市にある宁波捷洋影视器材有限公司というメーカーの製品のようです。

マイク用のブームポールもプロの間で評価が高いvdb製などは8~10万円位します。映画やドラマの画角であればもう少し長くて丈夫なものが欲しくなると思いますが、一般的なロケであれば今の所これで問題ないです。同じ長さならアルミ製ポールよりも軽く(重さ559g)、寒い日にも冷たくなりません。

ロケ音声の先達のアドバイスに従って、先端部にゴムワッシャーを追加(締め過ぎで外れなくなるの防止)。

下端部にゴム足を追加(置いた時に床が傷付くの防止)。

グリップ部分の中間部に追加のウレタンスポンジリングを装着(スポンジが無い部分との段差を触った時に振動でノイズが入るの防止)。

長く使っているとスライド部の滑りが悪くなるので、ホコリの多い現場へ行った後は分解して掃除します。
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