このブログでもCDプレーヤーの修理の話を何度か書いています。ぶっちゃけ、自宅にあるCDプレーヤーの数が尋常じゃないです。9~10台位持ってるかも。なので、買う必要性はまったく無いのですが、今回のSONY CDP-CX350は、ハードオフのジャンク品コーナーで見かけた時「これどういう仕組みで動いてるんだろう?知りたい、中が見たい、バラしたい」という欲望にかられ、うっかり購入してしまいました。CDが300枚入るチェンジャープレーヤーです。「~動いてるんだろう?」と書きましたがジャンク品なので「動きません」と明示されていました。ジャンク品にしてはリモコンも付いていて傷も少なく、外観は良い状態。

 

過去の名機を掲載している「オーディオの足跡」様に紹介ページがありました。1999年発売で定価\59,000、意外と安くないですか?

 

SONYは1980年台から多種多様なCDプレーヤーを作っていて、複数機種を同時に販売していた上、CD搭載のミニコンやラジカセ等も大量に作って売っていました。きっと1999年頃にはCDプレーヤーの生産技術も枯れていたのでしょう。チェンジャー部分は特殊ですが、それ以外の部分はこなれていて必要最小限の設計となっている印象を受けます。 外形サイズは大きいが、持ってみると意外と軽く、重量は3.5kgしかありません。CDを300枚入れると、CD1枚15gとして4.5kgですから、CDの重さのほうが本体の重量に勝ります。

 

この300枚チェンジャーはCDP-CX300が原型で、構造はCX350に至っても殆ど変わりません。ネットを検索すると、CX300を分解してベルトを交換している動画がありました。

Sony CDP-CX300 300 Disc Changer Belt Repair and Maintenance While Full  

Sony CD Player Belt Replacement  

Sony 300 Disc CD Changer CDP CX355 Repair and Demonstration  

私が購入したものも通電するとモーターがうなるだけでトレーが回らず、これらの動画と同じ故障です。動画を参考に分解します。

 

内部で目を引くのが、回転するCDトレー円盤です。他のCDプレーヤーには無い風景で、面白くて何枚も写真をとってしまいました。 

なんとなく原子炉の格納容器とか、核融合炉、未来の宇宙船やスペースコロニーの内部を連想しませんか??

 

動かない原因は、背面パネル近くにある2本のゴムベルトが劣化して伸びたり外れたりしているためです。

まずはこれらを交換しないと他の部分の動作確認もできません。 外そうとしたら溶けてべとべとのねちょねちょです。

あまり使っていた形跡が無いので保管中に固着して溶けてしまったようです。プーリーから外した後、溶けたゴムをアルコールで溝の中まで拭き取ります。 このようにゴムベルトが溶けてしまった場合はサイズがわかりませんので、リード線を使って円周を測り、円周率で割って直径を出し、そのサイズより少し小さい内径のベルトを取り寄せると修理できます。

しかし、ソニーは個人にも部品を売ってくれる貴重な会社です。まずは純正品の在庫をあたってみます。先程の2箇所のベルトは、CDトレーの円盤を回すベルトと、CDをトレーから取り出して、読み取りデッキ部分のクランパーで挟み込むローディング動作のためのベルトの2本です。この他に、CDトレーの下にフロント扉を開閉するためのベルトがあります。

こちらは溶けてはいませんでしたが交換します。よって必要なゴムベルトは全部で3本です。ソニーサービスステーションで調べたパーツ型番は次のとおりです。

 

・CDトレー回転用ゴムベルト/ローディング用ゴムベルト

4-216-061-01 \300/本(要2本)

・フロント扉開閉用ゴムベルト

4-219-326-01 \500/本

 

直径はCDトレー回転用ゴムベルト/ローディング用ゴムベルトのほうがやや大きい。お値段は千石電商で売っている汎用ゴムベルトより高いですが、実際に純正品の直径を測ってみると、どちらも汎用品にあるサイズではないので、手に入るうちは純正品を使ったほうが良いです。もしもメーカーの在庫が尽きたら、少しサイズが小さめな汎用品を使うことになるでしょう。部品は、発注した翌日にはサービスステーションに届いたとの連絡がありました。

 

部品引取後、早速、プーリーにベルトをかけ替えできる所まで分解して交換します。交換に際し、ベルトに油分が付着しないように気をつけます(もし付着したらイソプロピルアルコールで清掃すること)。

フロント扉の開閉用ベルトも交換します。

扉の開閉歯車部分と、CDを読み取りデッキにピッキングする機構の歯車部分にはそれぞれメカ位相がありますが、ベルトを交換するだけなら位相がズレる所まで分解する必要はありませんでした。

回転トレーの位置は、外した時とズレていても自動で認識してくれます。 ベルト交換後、グリスが枯渇している摺動部分にはプラスチックグリースを塗って元通りに組み立て、通電すると、扉とトレーが回転し、無事にCDを読み込みました。

 

この仕組みが見たくて買ったので、音が出なくても結構満足(笑)。トレーの位置と表示盤数がズレていたりすると隠しメニューを使った位置調整が必要らしいですが、特に問題は無いようです。ネット上で英語版のサービスマニュアルが入手できれば、位置調整方法などはそちらでわかるでしょう。

 

再生音を出してのチェックではCD1枚中に2~3回音が飛んだので、デッキメカ部分を分解します。使われているピックアップはKSS-213Bでした。

症状が軽いので、デッキメカは分解せず、ピックアップのレーザー出力も調整せず、レンズ部分をイソプロピルアルコールでクリーニングして、スピンドルとスライドシャフトに軽く注油するだけにしました。今のところそれで大丈夫なようです。

付属のリモコンは液晶にライン抜けがあります。でも、使えるリモコンが付いてきただけでも上等です。文字入力もできて、CDプレーヤーからの文字情報を通信表示できる、なかなか高度なリモコンです。買えばけっこうなお値段なんじゃないかな。

この機種、購入価格も安く修理も簡単で満足度高かったのですが、じゃあこれ日常的に使うかといえばそうでもない。でも使わないとまたゴムベルトが固まったり溶けたりしてしまいます。適度に使い続けるの大事なんですよね~。

 

当記事を参考にした修理は自己責任でお願いいたします。

 

(がんくま)