5月の読書 他 | A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC

5月の読書 他

5月も圧倒的読書月やった。

 

9冊読了、

例によって例の如く一冊ずつ簡単にレヴューしてゆきます。

 

 

S・A・コスビー「頬に哀しみを刻め」

 

いわゆるクライムサスペンス。

同性婚をした息子たちが何者かに殺害され、「ちょい悪」ならぬ「かなり悪」の前科持ちのクズ父親二人が犯人を捜し復讐するという物語。

LGBTとか黒人差別等いわゆるポリコレ要素が盛り込まれており、そしてミステリーというよりかはアクションバイオレンスという内容で、暴力的アメリカンムービーという感じでしょうか。

「見える差別」と「見えない差別」、息子への愛情とゲイへの嫌悪感という二律背反の感情、そして復讐。

まあいろいろと考えさせられますな。

 

 

 

万城目学「鹿男あをによし」

 

何度目になるかわからんくらいの読み返し、実家に帰省したときに暇だったのでパラパラと読んでいたのですが面白くなって一気に読み終えたわ。

ファンタジックな設定と展開、古代日本史やスポ根、ラブコメ要素も盛り込まれた万城目ワールド全開の傑作作品やと思います。

 

 

 

本岡類「ごんぎつねの夢」

 

新見南吉の「ごんぎつね」をベースにしたミステリー。

掴みはオッケーやったけど、そこまでするか?!という感じでやや現実離れしているという印象でそこまで入り込めず。

まあ普通に面白かったんやけどね。

 

 

川瀬七緒「ヴィンテージガール」

 

仕立屋探偵という新しいジャンル、衣服の皺や摩擦具合でその人の特徴や体調を見抜くという主人公が少女殺害事件の謎を解いていくという物語で、これがなかなかマニアックで面白かったです。

ワイは服飾の知識などほとんどなくて知ってる言葉はウラジミールキュプラスキーくらいのもんなのですが、専門的過ぎる内容が逆に興味をそそられ、そして今はスマホがありますからね、いろいろと未知のワードをググりながら読み進めました。

続編も出てるそうなのでそちらも近々読んでみようと思ってます。

 

 

 

藤崎翔「逆転美人」

 

「伝説級トリック」という文字がオビで踊ってますがこれはね、本当に凄かったです。

是非読んでほしい一冊ですよ。

美人は美人で辛すぎるのです、いじめにあったり嫉妬されたり犯罪に巻き込まれたり、ルッキズムなんてなくなればいいのに、という「自慢かよ!」的な手記で話は進められていくのですが、見事にやられたというか、ああ、なるほどな、と。

トリックが凄ければ凄いほど感想が何も書けないというミステリーあるあるですよ。

ワイ的ボティ候補の一冊。

ちなみにボティとはBOTY(BOOK OF THE YEAR)のことな。

 

 

 

柚月裕子「月下のサクラ」

 

 

安心と安定の柚月裕子、警察小説はストイックでシャキっと向き合えますよね。

警察署内での一億円が盗まれるという大不祥事、犯人と思しき元警察幹部の謎の死、警察組織の闇。

警察小説はこうでないとという要素がてんこ盛りで、そしてグイグイと読ませる展開はさすがの猿飛。

これは「朽ちないサクラ」の続編で、その「朽ちないサクラ」は映画化されて今月ロードショーだそうですよ、姉さん。

って姉さんおらんけど。

「朽ちないサクラ」もちょっと読み返してみるか(今の気分)。

 

 

 

宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」

 

 

今もっともアツい小説といえば「成瀬は天下を取りにいく」かと思いますがこれはその続編で、これも実に良かったです。

いや前作を超えているわ、いや前作があっての今作なわけやけど。

変わり者、という一言では言い表せない変わり者の主人公成瀬あかり、彼女のまっすぐな生き様がとても痛快なのですよ。

元気をくれる青春小説とでも言いましょうか、ここまで読後感が爽快な小説は久しぶりです。

「何になるかより、何をするかが大事」

騙されたと思って黙って成瀬シリーズを読め。

 

 

 

早見和真「アルプス席の母」

 

高校野球の強豪校にスカウトされて入学した息子とその息子を支えるシングルマザーの物語。

野球部の裏事情や親同士や監督とのドロドロの確執や、息子の怪我、王道のストーリー展開でだいたい察しはつくのだがそれでも感動が止まらんかったです。

世のお母さんは大変やな、子供に才能があればあったでしんどいんかもな、と。

 

 

 

眞邊明人「もしも徳川家康が総理大臣になったら」

 

ネタ枠の一冊。

AIで日本の歴史的偉人たちによる最強内閣が作られて次々と大胆な政策を実行していくという物語で、超アホらしい非現実的設定でエンタメ色が強く、でも意外とこれがなかなか読ませる内容で謎の感動がありました。

ページ横に専門用語等の注釈が細かく入っているのも政治や歴史の勉強になります。

なお映画化される模様。

 

 

 

というわけでこの日は一刻者をやりながらのツマミはセブンのやわらかいかくん。

肴はセブンのイカでいい。

まさか「やわらかいかくん」って「やわらかい・かくん」ってことはないよな?

 

そして音楽は中森明菜の1988年のアルバム「Stock」。

これはシングル候補から外れたものを集めたものでいわばボツ曲集とも言えるのですが、これが全編ハードでアグレッシブなロックチューンばかりという攻めた内容で実に潔くてかっちょいいのです。

バラードはおろかミドルテンポの曲すらなし。

しっとり明菜もいいが、このハード明菜も実にいい。

 

ワイのお気に入りは「ファイアースターター」で、

♪ファファファ ファイアースターター ワッチャウ!♪

の♪ワッチャウ!♪のところが超かっちょいいっすよね。

「いやでも芋焼酎と中森明菜は合わんやろ」

と思ったそこのアナタ、ワイも思てますよ(こればっかり)。