4月の読書 他
4月に読んだ本は6冊、
例によって例の如く簡単な感想を書き垂らしていきます。
田中雄二「AKB48とニッポンのロック」
AKBと秋元康のアイドルビジネス論を中心に、戦後の日本音楽史を網羅した約700ページの超大作。
先月読んだみのの「にほんのうた 音楽と芸能にまつわる邦楽通史」も非常に読み応えのあるものでしたが、こちらは音楽そのものよりも音楽産業史・業界史を中心に書かれています。
「ようここまで詳細に調べたな」と感心してしまうくらいとにかくデータが膨大というか情報が多く、且つ細かくて読み進めるのがかなりしんどかったのですが、その分得るものが大きかったというか役に立ったというか、ためになる一冊でした。
邦楽が好きで日本の音楽史とかに興味がある人以外は読まないほうがいいでしょう、というかそういう人はそもそも買わんやろ(税抜2800円)。
なお表紙はYMOの有名なあのアルバムのジャケですね。
ガチ音楽史度:★★★★★
小川哲「君が手にするはずだった黄金について」
著者本人と思しき主人公が怪しげな人たち出会う短編集で、一言で言うならばまあこんなもんかな、と。
文体が村上春樹っぽいというか、頭のいい人がいちいち思考をこねくり回して小難しく語る、みたいなようわからんけどなんかめんどくさくて、そんなんが好きな人は楽しめるんかも知れんがワイにはちょっと合わんかったです。
占い師の言動を論理的に解説したり、承認欲求のためにそこまでやるか?などととっかかりのストーリーは悪くないとは思いますが、のめり込めんかったわ。
オビではみんなベタ褒めしていて、そらまあ本を売るためにはそういうのも必要なんはわかるけど、
「オマエらほんまにちゃんと読んでその感想を書いたんか?」
と小一時間問い詰めたくなります。
「いやオマエの読書が浅いんやで」
と言われたらそれまでなのですけどね。
何か難解で何回か読んだらわかるんかいな度:★★★★☆
岩井圭也「楽園の犬」
太平洋戦争前のサイパンが舞台のスパイ小説。
これは良かったというか面白かったというか読み応えがあったというか力作というか、とにかく圧巻の一冊でした。
ストイックで硬派で軽く読める内容ではないですがその割には読みやすい戦争小説で、ミステリー要素もあって本当に面白かったです。
読み終えるとこの本の表紙がまたグッとくるのです。
命の大切さを改めて知る度:★★★★☆
宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」
青春というのはまっすぐでひたむきでアツいものでありますが、それをそのまま体現したのがこの本です。
他人の目など気にせず我が道を行く、飾らずにありのままに生きる、これよ。
ついこないだ本屋大賞を受賞して今一番注目されている一冊だと思いますが、
「ワイは本屋大賞受賞する前に読んだもんね」
などと謎のマウンティング。
とにかく爽快で疾走感がありスッキリする一冊で、滋賀に行ってみたくなります。
とても読みやすい文章ですし難解なストーリーもなく、200ページほどなので気軽に読めてアツくなれます。
読書離れしている人に是非読んでほしい一冊です。
なお続編も出ておりそれも既に購入済です。
滋賀度:★★★★★
森見登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋」
ビクトリア朝の京都を舞台にしたシャーロックホームズの物語。
「ビクトリア朝の京都」という地点で既にヘンテコなのですが、何の違和感もなくホームズやワトソンらが鴨川沿いや寺町通を闊歩するのです。
とにかく森見ワールド全開の小説で、ホームズ作品と森見作品を知ってたら120%楽しめる作品です。
ネタというかパロディがてんこ盛りで、展開もエンディングも見事。
でも何も知らん人が読んだら、いい意味でも悪い意味でも「なんやこれ?」となるかも知れん。
摩訶不思議度:★★★★☆
折原一「傍聴者」
この人の作品はとにかくひねくれているというのがワイの印象で、どんでん返しやミスリードが多くて頭を整理して物語の構造を把握するのがとにかく難しく、でもそこが面白さだったりするのです。
交際相手や結婚した夫が連続して亡くなり女が大金を手にする、という事件の公判を描いたものなのですが、裁判でどのような判決が出るのか?ってのと、それを傍聴する人たちやルポライター、彼らの視点で物語は進みます。
ややこねくり回し過ぎの感があるので評価は分かれるかも知れんがワイは楽しめました。
作者の手玉にとられる度:★★★★☆
おまけ:
実家に帰省したときに暇だったので再読もん二冊読了、詳細感想省略。
合わせると4月は8冊読んだということになりますな。
おまけその2:
実家から神戸に戻って、いつもの丸美屋の麻婆豆腐を季節はずれの「いちばん桜」で流し込みます。
山椒をどっさりかけて食べるのがワイ流、こういうのでいいんだよ。
たかが丸美屋、所詮丸美屋などと侮るなかれ、めっちゃ美味しいのです。
それから、こないだ少し前にビリージョエルの「ウィーン」のPVが新たに作られたというニュースを見て、唐突に「ストレンジャー」を聴きたくなったのでアドテン(アードベッグ10年な)を飲みながら聴き込むのです。
件の「ウィーン」は哀愁漂うセンチメンタルなメロディが美しい佳曲。
アルバムに埋もれがちなこういう地味な曲が好きだったりします。
次回予告:
聖子ちゃんNightに参加します。
夏の扉を開けるのです(時期尚早)。