3月の読書 他
3月も本を読みまくった豊穣の月でした。
♪春高楼の 花の宴♪
ってそれは「荒城の月」。
読書の春、圧倒的読書の春です。
12冊も読んだった。
例によって例の如く簡単な読書感想文を書き垂らしてゆきます。
辻村深月「名前探しの放課後」㊤㊦
学園もの+タイムスリップもの+ミステリー。
三か月前にタイムスリップした主人公、三か月後に学年の誰かが自殺するのだがその誰かが思い出せないってんで友人たちとでその人物を探し出して自殺を防ごうというもの。
どんでん返し要素いろいろあり。
上下巻で900ページくらいあるのですが長さを感じさせずにスイスイと読めました。
個人的にはこの辻村深月の小説は積極的に読みたいとは思わんのだがこれは良かったです。
ミステリーとしても面白いし、ひたむきでまっすぐな青春っていいよな、と思わせる一冊(二冊)。
どんでん返し度:★★★★☆
道尾秀介「向日葵の咲かない夏」
何度目かの再読もん。
夏になったらもっかい読もうと思っていたのだけど夏まで待てんかった。
これもどんでん返しもんそしてイヤミスで、グロい描写もあったりで読む人を選ぶというか好みが大きく分かれるかと思いますがワイは大好きです、いや大好きというのとはちょっと違うな。
とにかく摩訶不思議な世界観でそして書き方が一部情報を遮断している感じで明らかに「こりゃなんかあるな」と思わせるのですが、後半(以下略)。
まさかの展開度:★★★★☆
佐野広実「戦火のオートクチュール」
史実を絡めた歴史もんのミステリー。
第二次世界大戦中、ドイツの占領下に置かれたフランスが舞台で、ココ・シャネルやヒトラーが登場します。
この手の歴史フィクションはワイは大好きなのですが、これはやや煮え切らんかったな、という印象でした。
重厚で壮大な題材やのにいろいろと弱いな、という感じでもったいないな、と。
「裏切りと言うなら言え。わたしはただ、女のために服を作ったのだ。国のために作ったのではない。」
歴史のif度:★★★★☆
高田郁「幾世の鈴」
「あきない世傳 金と銀」の番外編二冊目。
これにて完結というか最後です。
足掛け8年続いたシリーズものの歴史小説、これは脇役に焦点をあてたスピンオフ的「その後」の物語。
なお去年NHKでドラマ化されたやつも見ました。
ドラマのほうはガイドムック的なものも出版されており、
思わず買いそうになったわ。
長く続いた小説がこれで終わりとなると達成感と空虚さが綯交ぜになりますな。
そして高田郁の次回作に期待、と。
これでおしまい度:★★★★★
伏尾美紀「北緯43度のコールドケース」
江戸川乱歩賞受賞作。
5年前に誘拐された少女が死後数日たった状態で発見される、というツカミは超オッケーなミステリー。
異色のエリートノンキャリ女性が警察という組織に翻弄させられながらもコールドケース(未解決事件)の真相にせまるというもので、これはなかなか読み応えがありました。
やや情報が詰め込み過ぎな感は否めないものの、これは良かったです。
二作目も出てるようなのでそっちも読む予定。
小説とは言え小さな子供が殺されるのはかわいそう度:★★★★☆
長江俊和「出版禁止 ろろるの村滞在記」
帯を見たらわかるようにどんでん返しのミステリー。
一癖も二癖もある圧倒的且つ衝撃的どんでん返し。
これはもう先入観なしで読んでほしい一冊、とか言いながら思い切りどんでん返しどんでん返し言うてますが、どんでん返るのがわかっていながらも騙されます。
騙される度:★★★★☆
東海林さだお「大盛り!さだおの丸かじり」
東海林さだおの「丸かじり」シリーズという食べ物エッセイの本があるのですが、これはそのベスト盤的一冊。
ワイは暇さえあればこの「丸かじり」シリーズをブックオフ等でコツコツと買っては読んでいるのですが、これがいちいち面白いのです。
食いもんに対する考察が鋭くて、しかも時々みみっちくて小市民的で、さらにはどうでもええことがほとんどで、肩の力抜いてぼんやりと読めるのがいい。
「定食屋でビールを」
「焼き鳥の串の業績を讃える」
「シオかタレかでしおたれる人」
「ポテサラ、その不思議なおかず」
「はがす人」
どうよ?これらのタイトルを見ただけでちょっと読みたくなったでしょう?
とにかく何も難しいこと考えずに読めるので食べ物と酒が好きな人はひとつ手にとってみてほしいです。
なお「丸かじり」シリーズは現在まで42冊出ております。
丸かじり度:★★★★★
米澤穂信「可燃物」
安心&安定の米澤穂信、帯には「3冠!」「このミス第1位」なんて文字が躍ってますが、これはまあ普通やった。
いやよく出来ているし読ませるし面白いんやけど、期待のハードルを上げ過ぎたせいかも知れん。
「そこまで言うほどのもんか?」という感想が先に来たわ。
いや面白いんやけどね。
安心&安定度:★★★★☆
東野圭吾「あなたが誰かを殺した」
安心&安定の東野圭吾、帯には「2023年ベストミステリー」なんて文字が躍ってますが、これもまあ普通やった。
とは言えさすがの東野圭吾、よくできていますし、面白くなくはないです。
駄菓子菓子「そこまで言うほどのもんか?」という感想。
いや面白かったんですよ。
安心&安定度:★★★★☆
井上真偽「アリアドネの声」
障碍者支援都市で地震が発生、そこで「見えない、聞こえない、話せない」という女性をドローンで救う、というオハナシ。
ド直球のハラハラドキドキの脱出もの。
これはめちゃくちゃ良かったです。
読みやすいし、あまり本を読まない人にもオススメしたい一冊。
これは映像化あるでないで。
「無理だと思ったら、そこが限界なんだ」
その言葉を信じる主人公、その言葉を信じて無理をして心が折れた人、三重苦でも不幸だと思わずに生きる女性、いろいろと考えさせられます。
暗闇に光が射す度:★★★★☆
みの「にほんのうた 音曲と楽器と芸能にまつわる邦楽通史」
タイトル通りの日本の音楽の歴史をまとめた一冊で、音楽好きの日本人ならば自国の音楽史くらいは知っておくべきやろ、と思い購入。
これがね、めっちゃ読み応えのある一冊で、意外とこういう邦楽の学術的書籍はありそうでなかったわけで、非常に勉強になりました。
人生一生勉強でありんす。
物事の本質を探ろうとするとそれは歴史に繋がる、とワイは常々思っており、そして歴史もまた連綿と繋がっているのです。
とりわけ音楽は「歌は世につれ世は歌につれ」と言われるように世相と影響を受け合って反映しあっているのですよ。
こういう本は何度も読み返して流れを理解していくのがいいでしょう。
とは言え「音楽」というものは文字通り「音を楽しむもの」であり、細かい理屈や音楽理論や歴史ばかりを学ぶならそれは「音学」になるので注意が必要です。
ってちょっと何言ってるかわからないですね。
おまけ:
とある日の夜勤出勤前の夕方の朝飯(?)、蕎麦屋でのざるそばとカツ丼のセット。
美味しかったです。
蕎麦湯がありがたいですな。