クロスビートのプリンス追悼本 | A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC

クロスビートのプリンス追悼本

プリンスが亡くなってから音楽雑誌は最新号でこぞって彼の特集を組み、実際に買って読んだものもあれば立ち読みで済ませてしまったものもあったわけですが、別冊で出版したのはクロスビートだけだったんですね。
ロッキンオンは渋谷陽一が別冊出すとニラんでいたけど最新号の中の特集だけだったのがちょいと残念。

アメリカじゃプリンスの死は大統領がコメント出すくらいショッキングな出来事だったわけですが、日本ではそこまで一般的に認知されているわけでもないと思うのでその辺のちょっとした大型書店行きゃ普通に買えるわ、などとタカをくくってたら、なんとどこも売切れ・品切れの状態で、仕方がないのでアマゾンでポチったものの増刷に追われているせいなのかいつまで経っても発送する気配がなくて、どうしたもんかと思案していたところ、ようやく昨日荷物が届きました。
一ヶ月くらい待たされたわ。



早速最初から最後まで読みました。
内容はプリンスの音楽的軌跡を綴ったもので、目玉は公式アルバムレヴューですかね。
年代順にカラーページで紹介されており、裏ジャケに邦題、チャート、曲目もLPのA面・B面まできっちりと書きわけられていたりして、初心者から古参のファンまで、プリンスの残した音楽的足跡を追えるものに仕上がっていると思います。



初めて聞く興味深いエピソードもいくつかあって、ひとつ紹介すると「パープル・レイン」が出来上がったときにジャーニーの83年のヒット曲「時への誓い(Faithfully)」に似ていると感じたプリンスは、作曲者であるジョナサン・ケインに電話をして受話器越しに「パープル・レイン」を聞かせて「あとから似ているなんて言わないでね」という確約をとったこと。
このエピソード自体がどこまで本当なのかはわかりませんが、言われてみると似てるかも。
というか言われて初めて今更ながら気づきましたわ。
プリンスが家でジャーニーを聴いてる姿を想像してちょっとニヤニヤしてしもたわw



個人的にはアルバム未収録曲やサイドワーク関連の記事はもうちょっと気合を入れてほしかったかなあと思います。
特にプリンスが曲を提供したりプロデュースした作品については、いろいろと”抜け”があり、おいおいもうちょっとしっかりしてくれよ、という感じでした。
マッドハウスのアルバムやNPGの「エクソダス」「ニュー・パワー・ソウル」についての記述がないってどうなんよ、と。
とりわけマッドハウスのアルバムはあの巨乳ねーちゃんのジャケが素晴らしいのに(笑)



あと、シングルのジャケも載せてほしかったし、リミックスや別ヴァージョンについても詳しく書いてほしかったなあと思います。
そこらへんもプリンスの音楽の魅力だったわけですからね。
ライヴも来日公演だけではなくて、海外のツアーについてもまとめてほしかったです。

なんだかんだああでもないこうでもないと一人で突っ込みながら読んでいたわけですが、読み進めるうちに「ああ、やっぱりプリンスは凄いなあ」とプリンスを聴くたびにこれまで何度も思っていたことを改めて思い、そしてそのプリンスももうこの世にいないんだよな、ということを改めて突きつけられて、ちょっぴり悲しくなりましたわ。

この追悼本が発注から到着まで一ヶ月も待たされたということも、これまでプリンスにさんざん振り回されてたことを思い出させて、「亡くなってからもオレはプリンスに振り回されてるんか」と泣き笑いですわ。

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