これが私の生きる道 / パフィー
![A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC](https://stat.ameba.jp/user_images/20090823/11/purplemusic3121/b5/5c/j/o0208040610238750295.jpg?caw=800)
ビートルズの曲をパロったりパクったりオマージュしたりリスペクトしたりしたものには枚挙にいとまが無いが、楽曲が優れていてビートルズ愛に溢れなおかつ遊び心が満載の曲というのはこの曲をおいて他にないでしょう。
1996年のパフィーの「これが私の生きる道」です。
御存知の方も多いと思いますが、これがもう笑ってしまうくらいのビートルズ・サウンドで、曲の構成やコード進行(多分ね)、楽器の使い方からメロディに至るまで、よくまあここまで詰め込んだものだとニヤけながら呆れてしまう一方で、アイデア一発の企画倒れにはならずに一級のポップ・ソングとしてもキチンと成立しているところが素晴らしいです。
曲全体の構成や雰囲気、メロディは「フロム・ミー・トゥ・ユー」ぽいですね。
そして歌い出しあたりのドラム・パターンは「涙の乗車券」で、ドラムに関してはあちこちでいかにもビートルズ/リンゴ・スターらしいタム回しやシンバルの使い方が登場します。
手拍子は「ホールド・ミー・タイト」かな。
そして序盤の♪オ~・オ~・オウ♪というコーラスはおそらく「素敵なダンス」ですね。
イントロもこの曲のイントロを参考にしてるように聞こえなくもないです。
Bメロの♪ウ~ランララ♪の部分は「一人ぼっちのあいつ」や「ユー・ウォント・シー・ミー」で、後半の和音を重ねる♪ア~・ア~・ア~♪というのは「ツイスト・アンド・シャウト」で、ラストの♪イエー・イエー♪は「シー・ラヴズ・ユー」ですね。
ギターは間奏が「デイ・トリッパー」で、これが一番わかりやすいですね。
後半は「プリーズ・プリーズ・ミー」のイントロのメロディも出てきます。
「イット・ウォント・ビー・ロング」的なフレーズも聞けますね。
間奏のハーモニカは「フロム・ミー・トゥ・ユー」かな。
他にもいろいろあるでしょうし、もしかしたらビートルズ以外の「ネタ」もあるかも知れませんね。
作詞作曲・プロデュースは奥田民生で、楽曲のパロディ・センスも大変素晴らしいがタイトルも面白く、元ネタはハナ肇とクレイジー・キャッツの「これが男の生きる道」です。
そして「これが私の生きる道」の漢字の部分を抜き出すと「私生道」となり、当時この曲は資生堂のCMソングに使われていました。
更にはこの曲はモノラルなんですよ。
どんだけこだわってんねん!と笑いながら突っ込みたくなりますが、もっと凄いのはこのシングルに収録されているカラオケ・ヴァージョンでこちらはステレオなんですが何と楽器がきっちり左右に分離されているという60年代風ステレオ!
そこまでやるか、と(笑)
ちなみにカップリングはユニコーンの名曲「雪が降る町」のカヴァーで、これもレコードのスクラッチ・ノイズをわざわざ入れてます。
レトロ感を強調したようなこの手法は90年代のヒップホップ/ソウル系のアーティストが割とよくやってましたね。
そしてこうしたパロディ・センスのある楽曲をパフィーという脱力系アイドルが歌っているというのも面白いですね。
「これが私の生きる道」はパフィーにとって2枚目のシングルで、デビュー曲「アジアの純真」の作曲も奥田民生が手がけています(作詞は井上陽水)。
この「アジアの純真」もAメロとBメロが全く違う別の曲のようで、それは複数の曲をひとつにまとめたビートルズの「ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」を彷彿とさせますし、エンディングの最後のコードが長いのも「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」を意識しているように聞こえるのですが、さすがにこれは深読みし過ぎですかね。
ちなみに当時会社の後輩を車で送って帰ってるとき、車の中ではビートルズのCDを流していてちょうど「デイ・トリッパー」がかかったんですが、それを聞いた後輩が一言↓
「これ、パフィーのパクリですやん!」