二十歳の恋 / 小島麻由美 | A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC

二十歳の恋 / 小島麻由美

二十歳の恋 / 小島麻由美



①あの娘の彼

②真夏の海

③飾窓の少女

④パレード

⑤移動式遊園地

⑥マイモンキーはブルー

⑦二十歳の恋

⑧私の誕生日

⑨さよなら、カエル

⑩月夜のブルース



本日紹介するのは、1996年の小島麻由美のアルバム「二十歳の恋」です。


小島麻由美というのは不思議なアーティストです。

彼女が作るのは昭和歌謡やジャズ、フレンチポップやボサノヴァ、ブルースをミックスさせたようなノスタルジックで時代錯誤的な独特の雰囲気を持つ音楽です。

ここでいうブルースというのは、エリック・クラプトンやロバート・ジョンソンではなくて、淡谷のり子や青江三奈とかが歌うソレです。


彼女はJ-POPのどのジャンルにも属さない、その存在自体も不思議なアーティストです。

(ま、J-POPてのがすでにジャンルになってるという笑えない事実がありますがw)


凡百のクソラップやヘボR&Bが蔓延る現在のJ-POPシーンにあって、

彼女の才能は一際輝いて見えます。


このアルバムは、「セシル3部作」と言われる彼女のデビュー作「セシルのブルース」~3作目「さよならセシル」の中のちょうど2作目にあたります。

この3作は彼女の才能が存分に発揮されていて、どれも素晴らしい出来なんですが、その中でもこの「二十歳の恋」が、アルバムとして最も出来がいいとオレは思います。

ジャケも最高です。



ウッドベースのイントロで始まるジャジーな①、


恋人との海水浴のデートを歌う切ない②、


ビッグバンド歌謡風の④、


スキャットの⑤、


美しいメロディのピアノのインスト⑦、


車に轢かれたカエルを歌う⑨、



など、不思議な魅力が満載で、ノスタルジックなメロディとその演奏は時代性を全く感じさせません。



また、意図的かと思うほど斬新なアレンジも非常に興味をそそられます。


①は、エンディングがブツ切りされるように突然終わり、


⑦は曲が進むごとにピアノがぶっ壊れていき、


⑧では彼女の叩くドラムがびっくりするほどテンポを保ってないですし、


⑨はサビの部分が思い切り音が歪んでますし、


⑩は60年代ぽく演奏とヴォーカルのチャンネルが左右に分かれていて、しかも故意に音をこもらせてます。





もうね、天才なのか天然なのかよくわかりません。


こうした音楽が時代の潮流に乗るとは思えないので、あまり売れていないというのは何となくわかるような気がするのですが、もうちょっと世間に認められてもいいのではないか、とも思います。


最近ではエゴ・ラッピンとか、倉橋ヨエコとか、奥村愛子とかが彼女と同系列で語られているようですが、

オレに言わせたら笑止千万もいいとこです。


チャーハンとピラフが一緒だと言ってるようなもんですよ。

発泡酒を飲んで「仕事の後はやっぱこれに限るな!」とか言ってるようなもんですよ。





そんな小島麻由美ですが、



ヴィレッジヴァンガード ではなぜか彼女を大プッシュしています。


しかもヘヴィーローテーションらしいです。


しばらく行ってないので本当かどうかわかりませんが。


ですので彼女のアルバムを買おうとするなら、ヘタにその辺の大型外資系輸入CD店へ行くよりも、

ヴィレッジヴァンガードへ行くほうが彼女のCDの品揃えが充実しているみたいですよ。


アナログ盤も置いてあるらしいですし。


店員に言えばその場でかけてくれるかも知れません。





さよなら、カエル




こんなところでうっかりと

車にひかれてペッチャンコ

100万個の思い出が

ちっちゃな頭に浮かぶよ


もうじきさよなら

永いさよなら

バイバイ


散歩の途中でさよなら、カエル