中学受験の難関校は、複雑な計算式が出題されます。

 

しかも、かなりの長さの計算式になっています。

 

どの問題を見ても、難関校さんの場合は、「+」「−」「×」「÷」、小括弧、中括弧、大括弧が使われ、整数にとどまらず、帯分数、小数が入り乱れたかなり難しい計算式ばかりです。

 

大人でも一回で正解させるには至難の技です。

 

分数といえども、仮分数に直すときに、一苦労しそうな帯分数が出題されますし、

 

小数も、分数に直すコツを知らなければ、なかなか分数に直せない小数第3位までの(もしくはそれ以上の)小数が式の途中に混じっていたりします。

 

長く複雑な計算式をはやく、正確に解くにはどうしたらいいのでしょうか?

 

ずばり、常に計算式全体を見渡しながら解くことです。

 

現在、中学受験の塾等では、はやく計算を解くことに主眼が置かれているため、

 

式を分解して、部分部分で計算していく手法が採用されていることが多いです。

 

この方法は、単純な計算式を解くには有効です。

 

しかし、難関校の入試問題の計算式を解く場合には、この手法は必ずしも有効とは言えないのが現実です。

 

部分部分で計算式を解いていく方法しか習ってこなかった生徒さんの場合、必ずといっていいほど、複雑で長い入試の計算問題を前にして、はたと動きがとまります。

 

そして、一向に鉛筆がそのまま動きません。

 

あれほど、塾等ではやく正確に計算を解けるようにと練習してきたのに、なぜなのでしょうか?

 

理由は主に3つあります。

 

計算式を分解して部分部分で解いてしまうと、困る理由のうちの一つが、入試の出題者は計算式全体を見て解いて欲しい(とおそらく推測されるような)出題傾向もしくは出題意図があるからです。

 

中学受験最難関校は、最難関国公立大学進学校でもありますが、

 

中学以降習い始める(大学受験に向けての)数学は計算式全体を見て解いていく形になります。

 

そのため、その流れをくんで、中学受験の計算式も、数式全体を見ることのできる生徒さんを採りたいのではないかと(あくまで推定ですが)思われます。

 

そのため、出題されている計算問題自体が、部分部分で計算していく方式では、式の構造を読み取れない、もしくは時間がかかりすぎる構造になっています。

 

 

 

計算式を分解して部分部分で解くとなかなか正解しないもう一つの理由が、

 

部分部分で解く計算方法で複雑な式を解いてしまうと、自分がどの部分を計算していたか、次に何を計算すべきかが、長く複雑な計算を解いている途中で忘れてしまう、もしくは、わからなくなってしまう、からです。

 

部分部分で解く計算法で果敢にも、長く複雑な計算式にチャレンジしてくださった場合、高確率でこのパターンにたどり着きます。

 

中学受験といえども、一目見ただけで、おおお、、、と思うような長く難解な数式です。

 

部分部分で計算してしまうと、式の構造を考えながら、部分部分の計算をしながら、、、という同時並行処理をしながらの、かなり高度な複雑な作業になってしまいます。

 

問題が分からなくなったり、間違う原因の最たるものが、考える際に、同時並行処理をしようとして失敗しているケースです。

 

考えるときは、一つ一つ考えていくのが、実は一番近道です。

 

部分部分で解く作業は、一見はやく解けるように見えるのですが、

 

頭の中で、式の構造全体を考えながら、かつ、部分部分の計算も正確に行いながらという、かなり高難度な頭の回転を要する作業です。

 

単純な計算式であれば、その2つの作業を頭の中だけで処理することは可能ですが、

 

複雑な式になればなるほど、頭の中だけで処理しようとするこの方法ではミスを連発します。

 

それを防ぐためにも、式の構造全体は常に書いて、目に見えるようにしておくべきです。

 

式全体は書いて把握しながら、その式の中で少しずつ、順番に(もちろん書きながら)式変形させていくのが、実は一番正確にはやく答えを出せます。

 

一定時間はかかりますが、その訓練をつんだあとは、かなり高確率な正答率になっていらっしゃる印象です。

 

もちろん、部分部分で解いて正解に辿りつくこともありますが、正答率が100%になりません。

 

入試では計算問題の正答率は100%にしなければなりません。

 

しかし、意外と、部分部分の計算方法だけで対処しようとしてしまって、本番で絶対に正解しないといけない計算問題で点を落としてしまっているケースはかなり存在します。

 

 

部分部分の計算法で困る3つ目の理由が、式を見て、部分的に捉えてしまう癖がついてしまう点です。

 

計算問題を解く時に、部分部分で解く方法しか、学んでいない場合、計算式全体をみる習慣が全く身についていないことがほとんどです。

 

しかし、入試では計算式全体を見て解くような問題も頻出しています。

 

そうなると、計算問題といえども、全体を見ながら解く変形問題が来たときに、完全にお手上げ状態になります。

 

まるまる計算問題を落としてしまうことにつながりません。

 

 

難関校中学受験をされる場合は、計算式は数式全体を見ながら解いていく方法も習得しておきましょう。