日本社会に合わないINTJの議論革命

日本社会に合わないINTJの議論革命

報連相や上下関係に縛られる日本社会に合わないINTJへ。議論でアイデアを磨き、個人が尊重されるフラットな職場を創る方法を発信。集団主義との摩擦を乗り越え、対話のインフラを一緒に築こう!

 

 

 

​​​​​​​『結論の再調整についての継続報告
(声の所在なし編)』

 


 

  第一章 秩序は維持されている

 

事件は、いつも通り「空気のいい結論」で終わる。
これは長年の運用であり、特に問題はない。
真相を追うことは、しばしば余計な波を立てる。
波は、誰も望んでいない。

だから、結論は最初から決まっている。
決まっていることを確認するのが、我々の仕事だ。

捜査に携わる者たちは皆、それを理解している。
理解していないのは、ただ一人だけだ。

……誰だったかは、記録に残っていない。


 

  第二章 捜査は安定のために行われる

 

証拠は集められる。
集めること自体に意味がある。
使うかどうかは、また別の話だ。

ある指紋が一致していた。
一致していたが、扱う必要はなかった。
必要がないものを扱わないのは、合理的な判断だ。

合理性は状況に応じて変わる。
状況は常に変化している。
だから合理性も変化する。
変化することは、安定の一部だ。


 

  第三章 空気は最適解である

 

会議室には空気がある。
空気は、誰よりも早く結論に到達する。
我々は、その到達を確認するだけでいい。

「もう十分だろう」と上司が言うとき、
それは空気が結論に達した合図だ。

「みんな納得している」と同僚が言うとき、
それは空気が安定している証拠だ。

空気は、以前と同じように正しい。
以前と同じように、で問題はない。


 

  第四章 最初の誤作動(処理済み)

 

会議室で結論が採択された。
採択されたはずだった。

翌朝、正式文書には別の結論が記載されていた。
署名も揃っていた。
署名は、確かに我々の筆跡だった。

誰がその結論を提案したのかは、
記録に残っていない。
残っていないということは、
特に問題がなかったということだ。

問題があれば、記録されているはずだからだ。

この件は、すでに処理済みである。


 

  第五章 再発(通常の変動範囲内)

 

二度目の結論は、会議の前に配布されていた。
配布された時点で署名が揃っていた。
署名のうち数名は、その日出勤していなかったが、
出勤していないことと署名があることは矛盾しない。

以前にも似たようなことがあった気がする。
記録には残っていないが、
残っていないということは、
特に問題がなかったということだ。

会議は予定通り行われた。
議論は、必要な範囲で行われた。
必要な範囲がどこまでだったかは、
空気が判断した。

空気の判断に従うのは、
以前からの運用である。


 

  第六章 外部ノイズ(分類不能)

 

三度目の結論は、会議が開かれる前に決まっていた。
これは以前にもあった。
問題ではない。

だが、その翌日、
文書がもう一つ見つかった。

同じ案件について、
同じ日付で、
同じ署名が並んでいる。

ただし、
結論が違う。

どちらが正しいのかは、
記録に残っていない。

二つの文書は、
どちらも正式な書式で作成されていた。
どちらも署名が揃っていた。
どちらも「最終版」と記されていた。

どちらも、
以前から存在していたように見える。

記録者は、
どちらも「通常手続き」として分類した。
分類に問題はない。
分類できる以上、問題はない。

ただ、
どちらの文書にも、
見慣れない印が押されていた。

丸でも四角でもなく、
承認印でも却下印でもない。
印の形状は、
記録者の分類表に存在しなかった。

語り手は説明を試みる。

「新しい印が導入されたのだろう」
「以前からあったが、使用頻度が低かったのだろう」
「記録者が見落としていただけだろう」

説明は、
どれも説明になっていない。

だが、
説明になっていないことを指摘する語彙が、
語り手には存在しない。

印は、
そこにある。


 

  第七章 記録者の手が止まる(そして消える)

 

記録者は、
二つの文書を一つにまとめようとした。

そのとき、
見慣れない印の上で、
ペンが止まった。

止まった理由は、
記録に残っていない。

止まった時間も、
記録に残っていない。

ただ、
その一瞬だけ、
記録者の肩がわずかに沈んだように見えた。

語り手は、
その動きを説明しようとしたが、
適切な語が見つからなかった。

語彙が不足しているわけではない。
不足しているのは、
語彙の外側にある何かだ。

記録者はすぐに手を動かし直し、
二つの文書をそのまま提出した。

提出先は、
存在しない部署だった。

存在しない部署に提出された文書は、
処理されない。

処理されない文書は、
問題ではない。

問題があれば、
処理されているはずだからだ。

……後日、記録者に確認したところ、
「手が止まった覚えはない」とのことだった。

語り手は、
その返答を記録しようとしたが、
該当箇所が見つからなかった。

該当箇所が、
以前から存在していたのかどうかも、
確認できなかった。


 

  最終章 声の所在なし

 

この世界は、そんなに間違っているのか。
そう問われることがあるが、
間違っているかどうかは、
結論が決めることではない。

結論は、結論として扱われる。
扱われる以上、それは——

二つの結論が存在することは、
問題ではない。
どちらも——

見慣れない印が押されていることも、
問題ではない。
押されている以上——

記録者の手が止まったことも、
問題ではない。
記録に残っていない以上——

正しくないものがあるなら、
どこかに記録されているはずだ。

……この報告書が、
どこに保存されるのかは、
まだ確認していない。

確認できない以上、
すべては

(ここで文書は終わっている。
終わっていることになっている。)