彼女は、
目玉を落として、
探していたって言うんです。
「え?
目玉がなくても、探せるんですか?」
彼女も、首をかしげています。
でも、かわいいです。
もし、彼女が、見えていたら、
僕なんかが、
じっと見るなんて、できない子です。
「僕が、探してあげましょうか?」
「お願いします」
彼女が、素直に、頼みます。
「落としたのって、この辺ですか?」
「なんか、歩いていて、
今日は、暗いなって、
思っていたら、目玉がなくて・・・」
「以前にも、
落としたことってあるんですか?」
「ないです。
だから、全然、気づかなくて。
しばらく、
歩いちゃいました」
「落としたあと、
歩いちゃったんですか?」
彼女が、
こくりと、うなずきます。
そのうなずき方が、
また、かわいいです。
「この辺りを、
探して来ますから、
ここで、待っていてください」
探してみるんですけど、
見つかりません。
「ないですね。
カラスが、
ひろって、食べちゃったのかな?」
彼女が、泣き出します。
「あっ・・・ごめんなさい。
カラスが、
うろうろしているから、つい・・・・」
「カラスが、いるんですか?」
「いますね。
電柱の上にも」
「じゃ、食べられちゃったのかしら?」
「交番に行ってみますか?
誰かが、
ひろって、
届けてくれているかもしれない」
彼女が、
涙に濡れた頬で、
うなずきます。
行こうとしたんですけど、
彼女が、
立ったままです。
それは、そうです。
目玉がなくて、見えないんですから。
「どうしましょう?
手を引きましょうか?」
「お願いします」
彼女が、手を差し出します。
なめらかな、
裸体みたいな、きれいな手です。
僕の方が、
胸を痛めるほどです。
彼女の手を握ります。
でも、
僕は、
女の子の手を握ったことがありません。
初めてなのに、
こんなに、
かわいい子の手を握ったんです。
ー つづく ー
カラスって、
目玉とか好きそうですよね![]()
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