僕は、
交番に到着して、
がっかりです。
ずっと、
手を握っていたかったです。
交番の中へと入ります。
ところが、
ほっとしたことに、
お巡りさんがいません。
「お巡りさん、いませんね。
パトロール中かな。
待ちますか?」
「いい匂いがする」
彼女が、
見えない目蓋で、匂いを探します。
たしかに、甘い匂いがします。
交番の、
カウンターの中を覗き込んでみると、
七輪で、
サツマイモを焼いています。
「焼き芋を作っていますよ」
「交番の中で?」
「じゃ、お巡りさんは、
すぐに、戻って来ますね。
芋を焼いているんですから、
遠くへは行かないでしょう」
僕らは、
焼き芋の焼ける甘い匂いの中で、
待ちます。
彼女が目が見えないので、
僕は、
じっと彼女の顔を見つめます。
もう、恋しちゃいます。
甘い匂いに包まれてますしね。
ところが、
どんどん煙たくなってくるんです。
白い煙が立ち込めて、
咳き込むほどです。
カウンターの中を覗き込んでみると、
七輪の上で、
焼き芋が火を吹いています。
「このままじゃ、
火事になっちゃいますよ!」
僕は、
カウンターの中に飛び込みます。
焼き芋を取ろうとしたんですけど、
熱くて、持てません。
「熱(あ)ち! 熱(あ)ち!」
何度も、つかもうとしては、
弾かれたように、
手を放します。
焼き芋をつかむ物を探したんですけど、
見当たりません。
「つかむ物ないですか?
ハンカチでもいいんだけど」
彼女も、
両手で、上から下へと、
身体に触(ふ)れて、探します。
スカートの中に、
手を入れると、
パンティーを脱ぎだしたんです。
「これ、使ってください」
「いいんですか?」
「どうぞ」
僕は、
彼女のパンティーを受け取ります。
淡いピンク色のパンティーで、
芋なんか包むのが、
もったいないです。
それでも、
焼き芋を取ると、
彼女のパンティーごと、
机の上に、
放り投げます。
もちろん、
彼女のパンティーは、
すぐに、
取り戻します。
彼女にだって、
返したくないくらいです。
ー つづく ー
やっぱり、
返さないとダメでしょうか?![]()
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