そのお姉さんは、僕のことを、

知恵遅れだと、思ったようです。

 

 

憐(あわ)れむように、

声を、やさしく、ゆっくりとします。

 

 

その、

手に握っているもの、しまおう?

 

大事なものよ?

 

出していると、

誰かに、持って行かれちゃうかもよ?

 

 

でも、

そのお姉さん、僕のことを見てないんです。

 

 

僕の左斜め上を見ているんです。

 

 

僕は、

かえって、左斜め上が気になって、

落ち着けなくて、

余計に、

知恵遅れみたいに見えるのかもしれません。

 

 

とりあえず、

鍵を、しまいます。

 

 

僕が、素直に、

言うことをきいたのが、

うれしかったようです。

 

 

しまってくれて、ありがとう。

 

あなた、何歳(いくつ)?

 

 

19歳です

 

 

19歳?

 

若く見えるわね?

 

 

子供ぽく見えるってことでしょうか?

 

 

もっとも、

何度も言いますけど、

僕の左斜め上を見ているんです。

 

 

誰と、話しているのか、

わからなくなります。

 

 

私のこと、

気持ち悪いって思っているんでしょ?

 

 

思ってないですけど・・・

 

 

ないですけど・・・何?

 

 

僕のこと、見ているんですか?

 

 

私、斜視(しゃし)なのよ。

 

斜視って、わかる?

 

 

指で、目を指(さ)します。

 

 

目が、違う方を向いているの。

 

でも、ちゃんと、あなたを見ているわよ。

 

 

隣(となり)に、座ってもいい?

 

 

どうぞ?

 

 

僕は、ちょっと、横に、ずれます。

 

 

お姉さんは、ドカッと座ると、

肩で、大きな息をつきます。

 

 

あぁ・・・びっくりしたぁ・・

 

だって、こんな所で出しているんだもの。

 

どうして、出していたの?

 

ここ、公園だから、

散歩させている犬だって、いるでしょ?

 

犬が、

ソーセージだと思って、

噛みついたら、どうするの?

 

 

ソーセージ?

 

 

私だって、

始め、ソーセージかと思ったもの。

 

手に持って、

食べてるのかな?って思ったのよ

 

 

鍵ですけど?

 

 

なんで、出していたの?

 

 

何の鍵かな?って

 

 

へぇ~、鍵だと思っているんだ?

 

 

夢の中で、もらったんです

 

 

へぇ~、そうなんだ

 

 

お姉さんは、

僕を、知恵遅れだと思っているので、

何を言っても、

納得しているフリをするんです。

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

ソーセージに見える?ウインクラブラブ