僕は、僕で、
雷雲の精霊に呆(あき)れます。
「あなたの方こそ、
人間が、わかってないです。
家の中が、
こんな状態では生きていけないんです」
彼女の家の中は、
父親が、階段から転げ落ちたほど、
鉢植えの花で、びっしりです。
怒った父親に、
鉢植えの花を処分すると言われて、
彼女は死のうとしているんです。
「おまえは、
どうやって存在しているんだ?
自分で、存在しているのか?」
「産んでもらったから、
存在しているんですよ」
「自分で、
存在しているかってことだぞ?」
「してますけど?」
「違うだろ?
自分以外のものが、
存在させてくれているんだろ?」
「水とか、空気ってことですか?」
「もともと、
存在を、存在させたものは、
無(む)なんだ。
無は、存在のために、
存在は、無のために、存在している。
自分のためになんか、存在していない。
そういう仕組みなんだ。
わかるか?」
わかりませんよね?
「存在と、花の処分と、
何の関係があるんですか?」
「この子は、
花のために在ろうとしているんだろ?
それは、
存在の仕組みに合っているんだよ!」
「それで、何が解決するんですか?
何も解決しないでしょ?」
「仕組みに合っていれば、解決する!
仕組みというのは、そういうものだ!
逆に言えば、
存在の仕組みに逆らっていれば、
滅びるぞ?」
僕は、
雷雲の精霊と話しているんですけど、
彼女から見たら、
僕は、
浴室の天井を見上げて、
ひとりで喋(しゃべ)っているんです。
雷雲の精霊が、
天井近くから見下ろしているからです。
僕は、あわてて説明します。
「雷様が来ているって言ったでしょ?
その雷様が、
あなたは間違ってないって言うんですよ。
間違ってないから、解決するって」
彼女は、大泣きしたせいで、
顔が、幼げです。
「どうやって?」
僕は、彼女に、大賛成です。
「そうですよね!
どうやって?って、思いますよね!」
急に、親近感が湧きます。
ずっと、
彼女の手首を握っているせいもあります。
おっぱいを見ているせいもあります。
彼女も、気づいて、
もう一方の腕で隠します。
でも、
カミソリを持っているんですから、
手首は、放せません。
風の精霊が、気づきます。
「あっ!
せんざいが、いっぱいになったのね?
スポンジが大きくなっているもの」
僕の股間を見ています。
ズボンの上からでも、
はっきりと大きくなっているのが
わかります。
僕の男性器を、
柄(え)のついたスポンジだと教えたんです。
似ているからです。
雷雲の精霊が、降りて来ます。
「やっと、溜まったのか?
出して、見せてみろ!」
「・・・・・あとで」
「出してみろって言っているんだよ!」
出せるわけないですよね?
ー つづく ー
出せませんよね![]()
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