
僕には、
自然霊しか、
ついていないらしいんです。
風とか、雲とか・・・
そんなバカな・・・って思います?
でも、
そう思うのは、
あなたには、ちゃんと、
人間の守護霊がついているからです。
タクシーに乗ったとき、
運転手が、人間なら、
目的地に運んでくれるでしょ?
でも、
運転手が、風とか雲だと、
目的地を言っても、
理解もしてくれません。
僕は、
幼い頃から、
どうして、
みんなと同じことができないんだろ?
って、不思議だったんですけど、
自然霊しかついていないって言われて、
納得します。
だって、
何にもできないんですよ。
できるのは、掃除だけです。
でも、疑問ですよね?
自然霊って、掃除するんでしょうか?
風とか、雲って、
掃除するんですかね?
ただ、
僕には自然霊しかついていないって、
言われて、
気づいたのは、
本当に、掃除したかったのは、
人間じゃないか?ってことです。
だって、
汚すのって、人間だけですよ。
「掃除したかったのは、人間かぁ」
って思っちゃったんです。
そう思うと、ですね、
もう、
掃除したくてたまらないんです。
人間を、片付けたいわけです。
でも、
あなたたちを片付けるわけには
いきませんよね?
片付けることができるとしたら、
僕ひとりです。
それで、
高層ビルディングに上って行くんです。
屋上に出て、
フェンスを越えて行くんです。
そして、飛び降ります。
これで、やっと掃除できるって。
ところが、ですよ?
落下中、
風がスゴいんですけど、
叫び声に聞こえるんです。
「キレイにしてほしいの!」
見ると、若い女です。
落下中ですよ?
そのうえ、女は全裸です。
僕も、びっくりです。
「え!
一緒に飛び降りたの?」
僕が飛び降りたとき、
一緒に飛び降りたと思ったんです。
「見てよ?
ほら、
こんなに汚れちゃっているのよ!」
おっぱいを、
突き出して見せるんです。
僕は、
女の人のおっぱいを見るのは、
初めてです。
ヌード写真集では、見ますけどね。
「なんで、飛び降りたんですか?
風呂に入ったら、
いいじゃないですか?」
「ふろって?」
「風呂、知らないんですか?」
「何、それ?」
「お湯で、
身体を洗うんですよ」
「キレイになるの?」
「なりますよ」
女が、うれしそうに、
目を見開きます。
「お願い! キレイにして?」
「飛び降りる前に、
言ってくれたらよかったのに・・・」
「どうして?」
「もう今からじゃ、
風呂に入れないでしょ?」
「入るものなの?
どこにあるの?」
「家(うち)ですよ」
「だったら、家に行けばいいのね?」
そのとたん、
竜巻のようなものに飲み込まれます。
揉みくちゃにされるんです。
そして、
気づくと、僕の家の前にいたんです。
ー つづく ー
でも、
助かったんですね![]()
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