勉強で、
1番、わからなかったことは、
教師って、
なんでこんな簡単なことを、
わざわざ教えているんだろ?でした。
高校生のとき、
数学の授業で、
あまりの簡単さに、うんざりしていると、
隣の席のクラスメイトが、
やっぱり、うんざりしているんです。
それで、
僕が、「うんざりするよな?」って
聞くと、
彼も、顔を歪(ゆが)めて、
「うんざりするよ」って言うんです。
ところが、
彼は、「全然、わからない」って
言うんです。
「え!
わからない?」
「わからないだろ?」
それで、僕、わかったんです。
それまで、
ずっと、なぜ教師が、
こんな簡単なことを、
くどくどと、教えているのか、
わからないでいたんです。
でも、
わからない子がいたんです。
こういう子のために、
教えていたんです。
それからは、
遅刻や欠席ばかりするようになります。
だって、学校って、
わからない子のためにあるんですから。
朝、
遅刻したために、
学校近くの駄菓子屋で、
よく遊んでいる3年生たちがいました。
駄菓子屋には、
パチンコ台があったりして、
校門に立つ教師がいなくなるのを、
待って、
時間潰(つぶ)しをしているんです。
僕も、
よく一緒に遊んでいました。
ときどきは、
遊ぶだけ、遊んで、
そのまま、帰ります。
「おまえって、2年生だったよな?」
「はい」
「○○って奴、知っているか?」
3年生の先輩の口から、
いきなり、僕の名前が出たんです。
「・・・・知ってますけど」
「どんな奴だ?」
「・・・僕です」
びっくりしています。
「おまえ、
この前の、大学入試の模擬試験、
オレたちと一緒に受けたか?」
「・・・受けました」
2年生の成績上位者、数名が、
受けさせられたんです。
「おまえ、
オレたちを抜いて、
1番になっただろ?」
「・・・はい」
ところが、
先輩たちが怒りだすんです。
「おまえ、こんなところで、
何やってんだよ?
オレたちは、
どうせ、いい大学にも行けないから、
こんなことしているんだよ。
だけど、
おまえは違うだろ?
ちゃんと、やれよ!
2度と、こんなことするな!
もし、
今度、見つけたら、
タダじゃ置かないからな!
ほら!
早く、さっさと行け!」
蹴飛ばされるような剣幕(けんまく)で、
行かされたんです。
ー つづく ー
いい先輩たちですよね![]()
![]()




