お父さんとお母さんに話したあと、
わたし、
彼に電話して、
来てもらいます。
夜中に、
こっそりと抜け出します。
彼は、
妊娠についての話だ
と思ったようです。
わたしが、
クルマに乗り込んでも、
重苦しいです。
でも、わたしは、
話したかったんです。
「このクルマって、
お父さんの、でしょ?」
「そうだよ」
「乗せてくれるって、
愛されてるよね?」
「・・・・そうだな」
「愛されてるって、
知ってた?」
「知ってるよ」
「知ってるの?」
彼は、何の話だ?って顔です。
でも、わたしは、びっくりです。
「いつから、知ってるの?」
「みんな、知ってるだろ」
「みんな、知ってるの?
知らなかったの、わたしだけ?」
「知らなかったのか?」
わたしは、急に、
聞いてみたくなります。
「わたしに、価値って、あると思う?」
「あるよ」
「どうして?」
「自分に価値がないって思うのは、
親の愛には価値がないって思うのと、
同じだよ。
価値が、ないわけないだろ?」
「わたしのお父さんやお母さんが、
わたしを愛してるって、
わかるの?」
「わかるに決まっているだろ」
「どうして、決まってるのよ?」
「決まっているんだよ。
親って、そういうものなんだよ」
「え? そういうものなの?
でも、あたり前じゃないよね?」
「当たり前のわけ、ないだろ?」
「わかってるんだ?
スゴイね」
彼のことを見直します。
「・・・・・もし、
赤ちゃんができていたら、
お父さんとお母さん、
何て言うかな?」
「どっちの?」
「そっち」
「どっちにしても、
オレ、大学辞めるから」
「やめるの?」
「バイトじゃ、子供は育てられないよ」
わたし、彼のこと、
道具としか、考えていませんでした。
たぶん、
親のことも、
道具だと思っていました。
だから、
愛に気づけないでいたんです。
道具だと思っていたから、
思い通りにならないと、
怒っていたんです。
「わたしって、
何にもわかってなかった」
「本当に、わかるのは、
これからだよ。
自分が親になって、
親のありがたさが、
わかるって言うからな」
わたしは、彼に、感心します。
「へぇ~、わかってるんだね」
「だから、
これからだって、言っているだろ」
男らしい顔つきが、
頼もしいです。
わたし、
彼のよさを、
全然わかってなかったです。
これからは、
彼のことを、
ちゃんと愛そうって思います。
そう思えるようになれたのも、
お父さんとお母さんのおかげです。
お父さんとお母さんが、
わたしたちにとっては、
愛のキューピッドです。
ちなみに、ですけど、
産婦人科で診てもらったら、
妊娠していませんでした。
想像妊娠とのことです。
女性ホルモンの注射を2回打ったら、
生理が来ました。
でも、
注射を2回打ったら、
Dカップだったおっぱいが、
Fカップになりました。
育ち盛りですし、ね。
彼にも、
ゴムをつけさせてます。
大学をやめさせたら、
かわいそうですから。
それから、
お父さんとお母さんに、
何をしてあげれるか?
って考えるようになりました。
家族なんですから、
助け合わないといけなかったですよね?
でも、
そうしていたら、
お姉ちゃんの発作が、
起きなくなったんです。
そう考えるようになってから、
1回も起きていないんです。
まるで、
わたしの心の叫びが、
お姉ちゃんの叫びだったみたいに、です。
そういうことって、
あるんでしょうか?
でも、
いつか、わたしも、親になりますよ。
愛になります。
end
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ありがとうございました![]()
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