僕の部屋に、

サメが引っ繰り返っています。



怖くてたまりません。

 

 

すごく大きいんです。

 

 

部屋が狭いので、

よけいに、大きく見えます。

 

 

のたうつ度(たび)、

溜まった水を、跳ね上げます。

 

 

そのうえ、

一気に水かさが増えます。

 

 

蛇口から、

水が、

僕の恐怖のように、噴き出しています。

 

 

もう膝くらいまで、

溜まって、

そのせいか、ドアが開きません。

 

 

お姉さんに、助けを求めます。

 

 

ドアが開かないんです!

 

手伝ってください!

 

 

お姉さんは、

両手のひらを、開いて、

顔の前に上げて、

サメが、水を跳ね上げるのを、

避(よ)けています。

 

 

だから、

鏡の中のドアが開くわけないでしょ?

 

 

鏡って、何ですか?

 

 

夢なんだから、

あなたが、どんな思いかを

映しているのよ

 

 

僕は、サメを指さします。

 

 

このサメも、夢なんですか?

 

 

夢に決まっているでしょ?

 

 

でも、

どんなに見ても、

本物のサメです。

 

 

本物だけが持つ迫力です。

 

 

でも、夢じゃなかったら、

喰われますよ?

 

 

今にも、

サメは、泳ぎ出しそうです。

 

 

もっと、よく、見なさい。

 

何を映している?

 

 

見れば、見るほど、怖いです。

 

 

これ、夢なんかじゃないです!

 

 

そう思い込んでいるだけよ。

 

あなただって、この世界と、

同じもので、できているのよ?

 

 

同じものって、何ですか?

 

 

あなたを、

こまかくして行ったら、

小さいあなた、なんてことは、

ないでしょ?

 

炭素とか水素、でしょ?

 

 

だからって、

サメに喰われてもいいって、

ことにはなりませんよ!

 

 

僕は、

必死になって、

ドアを開けようとします。

 

 

お姉さんは、

白いブラジャーとパンティーが、

濡れて、透けています。

 

 

乳首も、くっきりです。

 

 

その炭素や水素だって、

もっと、こまかくして行くと、

粒子でもないの。

 

つまり、

物質なんて、ないのよ

 

 

だから、

夢なんですか?

 

 

夢だって、物質じゃないでしょ?

 

 

ついに、

サメが泳ぎ出します。

 

 

僕は、

女の子を抱いて、

テーブルの上に、避難します。

 

 

お姉さんに、叫びます。

 

 

こっちに来て!

 

 

でも、お姉さんは、

逃げるどころか、

腕を、後ろに回して、

ブラジャーを外します。

 

 

おっぱいが、

一際(ひときわ)、白いです。

 

 

揺らして、見せます。

 

 

ほら、夢でしょ?

 

 

夢なんでしょうか?

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

 

怖ければ、怖いほど、

夢だって気づけませんよねウインクラブラブ