僕の部屋に、
サメが引っ繰り返っています。
怖くてたまりません。
すごく大きいんです。
部屋が狭いので、
よけいに、大きく見えます。
のたうつ度(たび)、
溜まった水を、跳ね上げます。
そのうえ、
一気に水かさが増えます。
蛇口から、
水が、
僕の恐怖のように、噴き出しています。
もう膝くらいまで、
溜まって、
そのせいか、ドアが開きません。
お姉さんに、助けを求めます。
「ドアが開かないんです!
手伝ってください!」
お姉さんは、
両手のひらを、開いて、
顔の前に上げて、
サメが、水を跳ね上げるのを、
避(よ)けています。
「だから、
鏡の中のドアが開くわけないでしょ?」
「鏡って、何ですか?」
「夢なんだから、
あなたが、どんな思いかを、
映しているのよ」
僕は、サメを指さします。
「このサメも、夢なんですか?」
「夢に決まっているでしょ?」
でも、
どんなに見ても、
本物のサメです。
本物だけが持つ迫力です。
「でも、夢じゃなかったら、
喰われますよ?」
今にも、
サメは、泳ぎ出しそうです。
「もっと、よく、見なさい。
何を映している?」
見れば、見るほど、怖いです。
「これ、夢なんかじゃないです!」
「そう思い込んでいるだけよ。
あなただって、この世界と、
同じもので、できているのよ?」
「同じものって、何ですか?」
「あなたを、
こまかくして行ったら、
小さいあなた、なんてことは、
ないでしょ?
炭素とか水素、でしょ?」
「だからって、
サメに喰われてもいいって、
ことにはなりませんよ!」
僕は、
必死になって、
ドアを開けようとします。
お姉さんは、
白いブラジャーとパンティーが、
濡れて、透けています。
乳首も、くっきりです。
「その炭素や水素だって、
もっと、こまかくして行くと、
粒子でもないの。
つまり、
物質なんて、ないのよ」
「だから、
夢なんですか?」
「夢だって、物質じゃないでしょ?」
ついに、
サメが泳ぎ出します。
僕は、
女の子を抱いて、
テーブルの上に、避難します。
お姉さんに、叫びます。
「こっちに来て!」
でも、お姉さんは、
逃げるどころか、
腕を、後ろに回して、
ブラジャーを外します。
おっぱいが、
一際(ひときわ)、白いです。
揺らして、見せます。
「ほら、夢でしょ?」
夢なんでしょうか?
ー つづく ー
怖ければ、怖いほど、
夢だって気づけませんよね![]()
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