僕は、

女の子が入っていた箱を、

手に取ります。

 

 

20cm四方の箱です。

 

 

猫なら入りそうです。

 

 

でも、

6歳くらいの女の子には、

小さすぎます。

 

 

よく、こんなところに、

入(い)れたな・・・・・

 

 

どうやったと、思う?

 

 

ぎゅーって、小さくして?

 

 

自分で、話していて、

ヘンだと、思わないの?

 

 

お姉さんは、

白いブラジャーとパンティー姿です。

 

 

6歳くらいの女の子は、

泣き止んで、

散乱した箱に興味を持っています。

 

 

さっきまで、

パパが、ママをたたくって、

泣いていたんです。

 

 

この世界が、

夢だって、気づかなきゃダメよ。

 

だって、

そんな小さな箱に、

女の子が入るわけないでしょ?

 

 

僕は、

空(から)の箱を見つめます。

 

 

でも、入っていたんだから

 

 

この世界は、

あなたの思いを映しているの

 

 

僕のパパは、

僕のママをたたきませんけど?

 

 

どんな問題かは、問題じゃないのよ

 

 

だったら、

何が問題なんですか?

 

 

女の子が、

箱のひとつを、開けています。

 

 

中には、

水道の蛇口が入っています。

 

 

蛇口なんて、

僕と、もっと、関係がない

 

 

だから、

どんな物かは、問題じゃないって

言っているでしょ?

 

 

女の子が、蛇口のハンドルを、

回します。

 

 

ところが、

水が出たんです。

 

 

蛇口だけなのに、です。

 

 

そのうえ、

女の子が、もっと回します。

 

 

激しく水が出て、

生き物のように、女の子の手から、

跳ねると、

床の上で、クルクル回ります。

 

 

水を噴き出しながら、です。

 

 

僕は、あわてて、

蛇口を、つかまえます。

 

 

ハンドルを閉めようとしたんですけど、

ハンドルが、いくらでも回るんです。

 

 

壊れている!

 

 

このままでは、

部屋が水浸(みずびた)しです。

 

 

僕は、

蛇口の口を押さえます。

 

 

すると、

水が飛び散って、

お姉さんにも、女の子にも、

浴びせます。

 

 

お姉さんは、キャーキャー!逃げて、

女の子は、キャッキャ!

喜びます。

 

 

キッチンの流しに、

持って行けばよかったのに、

僕は、

力尽(ちからづ)くで、

蛇口の口を押さえて、

僕までビショビショになるんです。

 

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

 蛇口だけで、

水が出たら便利ですよねウインクラブラブ