僕が、受け取ろうとしないので、

お姉さんは、

大、小、4個の箱を、

部屋の中へと、投げ捨てます。

 

 

ドア周りに、

箱が、散乱します。

 

 

ハイヒールの靴を脱ぐと、

勝手に、部屋にあがって、

カーペットの床に、

寝転がります。

 

 

あぁ、疲れたわ

 

 

白い、絹の、レース模様が入った、

ワンピースからの、

生脚(なまあし)が、

すらりとして、キレイです。

 

 

無防備すぎます。

 

 

お姉さんは、誰なんですか?

 

 

だから、あなたの夢よ

 

 

夢って?

 

 

夢、見るでしょ?

 

 

見ますけど・・・

 

 

その夢よ

 

 

僕は、部屋の中を見回します。

 

 

どう見ても、いつもの部屋です。

 

 

夢っぽさは、

微塵(みじん)もありません。

 

 

どういうつもりなんですか?

 

 

だから、

届け物を届けに来てあげたって

言っているでしょ?

 

人の話、聞いてないの?

 

 

実際、届けたくれた箱の1つには、

僕のスマートフォンが入っていました。

 

 

僕のスマホが、

どうして、

この箱に、入っていたんですか?

 

 

僕は、

立ったまま、

スマホと、箱とを、持ったままです。

 

 

だから、

夢だって、言っているでしょ?

 

 

お姉さんは、寝転がったまま、

言います。

 

 

ヘンに色っぽいです。

 

 

男の部屋で、

太ももを露(あら)わにして、

寝転がっているからです。

 

 

僕は、今、

夢を見ているってことですか?

 

 

だって、夢しかないのよ。

 

現実ってものが、ないんだから

 

 

僕は、首を傾(かし)げます。

 

 

お姉さんが、寝転がったまま、

僕を手招きます。

 

 

なんですか?

 

 

夢だって、教えてあげる

 

 

白い指が、妖(あや)しく、揺れます。

 

 

僕は、近寄ります。

 

 

もっと、よ?

 

 

え?

 

もっと?

 

 

すると、

お姉さんが、

カメレオンの舌のように、

白い腕を伸ばします。

 

 

僕の首を抱いて、

引き寄せると、

キスするんです。

 

 

甘い匂いのキスです。

 

 

たしかに、

夢かもしれないです。

 

 

とても、

現実とは思えません。

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

 

 夢って、

何でもできるのに、

大したことはしませんよねウインクラブラブ