男が、

わたしの股を、穴が開くほど、

見つめます。

 

 

もっとも、

穴は、開いているんですけどね。

 

 

舌を出して、

動かして、舐めようとします。

 

 

どうだろ?

 

 

・・・・感じません

 

 

生きているうちに、

出会いたかったね

 

 

昔ですけど

 

 

わたしが生きていたのは、

何百年も前です。

 

 

無くなりたいって、

成仏したいってことかな?

 

 

じょうぶつ?

 

 

成仏できないから、

迷っているんだろ?

 

もっとも、

迷っているのは、僕も、だけど

 

 

迷っているんですか?

 

 

生活という道に、ね。

 

どう生きたらいいのか、

わからないから

 

 

わからないんですか?

 

 

仕事とか、人間関係とか、

将来のことも不安だし・・・・

 

 

生きているって、

不安なんでしょうか?

 

 

不安しか、ないよ

 

 

大変ですね?

 

 

男が、苦笑いします。

 

 

まさか、幽霊に同情されるとは

思わなかった

 

 

どうして、不安なんですか?

 

 

男が、考えています。

 

 

死んだら、どうしよ?とか

 

 

こうなるだけです

 

 

無くなることへの不安もあるし・・・

 

 

無くなることは、ないです

 

 

ずっと?

 

 

ずっとです

 

 

・・・・・でも、怖いんだよ

 

 

わたしは裸で、

股を開いて、

そこに、男も裸で、

うつ伏せに寝そべっています。

 

 

もし、無(む)があったら、

わたしたちは無いんじゃないかしら?

 

 

どうして?

 

 

どこかに無(む)があったら、

まわりの物が、どんどん無くなって

いかないですか?

 

だったら、

もう、すべて、

無くなってないですか?

 

 

そうかな?

 

 

そうですよ

 

 

本当に、そうかな?

 

 

男が、

股の間から、わたしを見上げます。

 

 

わたしなんて、

無くなりたかったけど、

無くなれないんです

 

 

この何百年間だって、

ひとりで、ぽつんといるしか、

ありませんでした。

 

 

わたしたちは、

あるしかないんですよ

 

 

無くなれないっていうのが、

わたしの実感なんです。

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

 

そうなんだウインクラブラブ