キレイなお姉さんに、
いきなり、
部屋に呼ばれました。
お姉さんの後ろを歩いて、
スカートが揺れると、
僕の胸の中が、揺れます。
お姉さんの部屋へと行く道です。
梅雨の晴れ間の、
真夏のような日差しに、
僕の影も揺れています。
「僕、今、姉の部屋に、
居候(いそうろう)しているんですけど、
姉が、都会は、怖いから、
気をつけろって言うんです」
僕は、大学の、浪人中で、
田舎から、都会に出て来たばかりです。
「お姉さんの部屋に行ったら、
怖いお兄さんが来たりしないですか?」
「私に、兄はいないわ。
妹なら、いるけど」
「そういうお兄さんじゃなくて」
「だから、いないわよ」
「彼氏さんは、いるでしょ?」
「いたら、ひとりで、
しないわよ。
いても、するのかしら?」
「そんなにキレイなのに?」
お姉さんが、僕を見上げて、
嬉しそうです。
「私も、そう思うんだけど、
彼氏できないのよね。
あなたのお姉さんって、
彼氏、いるの?」
「います」
「そうなんだ。
どうして、私、できないのかしらね。
できたことないのよ。
女っぽくないのかしら?」
「女っぽいですよ」
お姉さんが、笑います。
「でも、きっと、
どこか、違うのよね?」
「キレイ過ぎるんじゃないですか?」
「あなたのお姉さんも、
キレイでしょ?
あなたを見れば、わかるわ」
「美容師、しているんです。
だから、オシャレはしてますけど」
「へぇ~、美容師さんなんだ。
お姉さんと暮らすって、どう?」
「どう?って」
「するとき、気を使ったりしないの?」
「するとき?」
お姉さんが、
素朴な疑問顔になります。
「お姉さんって、
彼氏がいても、するの?」
「どうかな?」
「声、聞こえない?」
「聞こえませんけど」
「男の子って、声、出すの?」
「・・・・出しませんけど」
「出さないの?」
「出(で)ませんけど」
え~って、目を見開いて、
驚いています。
「私が、するとこ、
見せてあげるから、
そのあと、
見せてくれない?」
「なんで、ですか?」
「見たことないのよ。
弟も、いないしね」
「僕の姉だって、
見たことないですよ」
僕がムキになって言ったら、
お姉さんが無邪気に笑うんです。
ー つづく ー
無邪気に笑われても、ね![]()
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