始め、間違えて、
送られたのか?って思いました。
花の写真です。
兄嫁(あね)からです。
写真には、メッセージが添えられています。
「田舎にも春が来たよ!
前面の花は翁草(おきなぐさ)です」
甘いような深く紅い花が映っています。
翁(おきな)とは、
爺(じじい)のことです。
メッセージを返します。
「僕も、数学教師として定年を迎えました。
翁です。
それで、送ってくれたんですか?」
「あら?
おめでとうございます。
時間ができたのでしたら、
遊びにいらっしゃいね」
それで、遊びに行くことにしました。
兄は、風呂あがりに、
兄嫁(あね)に、
肩に、膏薬を貼らせています。
「肩が痛いんだよ。
医者に行ったら、五十肩だって言うんだ。
もう70歳になるのに、
50肩だって言うんだよ」
兄は、僕より、8つ年上です。
「たまたまなんだけど、今夜、
若い人たちが、遊びに来るって言うんだ」
僕は、若い人たちって、
50歳くらいだろうと思っていました。
ところが、高校生くらいの女の子と、
そのお姉さんくらいの子が来ました。
どちらも、かわいいです。
兄嫁(あね)を手伝って、料理を作ります。
でも、70歳の兄に、
こんな若い子たちが遊びに来るって
不思議です。
「過疎化対策なんだけど、
こっちに移住してもらって、
農業をしてもらっているんだよ」
そのあと、
40歳くらいの男の人、2人が来ました。
その1人と、
お姉さんくらい子が、夫婦でした。
ピーマンを作っているとのことです。
作り方を、兄が教えて、
その縁(えん)で、ときどき、
こうして遊びに来るんだそうです。
高校生くらいの子に、電話が入ります。
「え?
来れないの?
お祭りの練習? いきなり?」
その子の両親も、
来るはずだったらしいのです。
それが、いきなり、
お祭りの練習に、
迎えに来られたとのことです。
みんなで、
「そんなことがあるのか?」なんて、
驚いています。
僕が、驚いたのは、
高校生くらいだと思っていた女の子が、
25歳だったことです。
「え?
25歳?
高校生かと思った」
女の子は、一瞬、とまどったあと、
喜びます。
「ほめられたことにしておこうっと」
兄嫁(あね)も、女の子に、
「肌がきれいだから、高校生に見えるのよ」
って、ほめています。
実際、その子は、とてもかわいいです。
ただ、不思議なのは、
どこかで会ったことがあるんです。
よく知っているんです。
なつかしい気持ちさえします。
彼女を見ていると、
涙さえこぼれそうになります。
胸の中が、愛おしさと、
切なさで、いっぱいです。
自分でも、こんな気持ちになって、
とまどっているんです。
ところが、
僕が泣きそうになっているのに気づいて、
彼女が、泣き出します。
みんな、びっくりです。
わけを聞いたり、慰めたりします。
でも、彼女自身、
どうして泣いているのか、
わからないって言いながら、
泣いているんです。
実は、
彼女も、僕も、
生まれてくる前に、
霊界で、
約束していたんです。(9話参照)
霊界では、彼女は、
猫に生まれたがっていました。
猫が、かわいいので、
猫になりたがっていたんです。
僕に、かわいいって、
言ってって、頼んでいました。
それで、猫に生まれて、
僕のところに来たんです。
もちろん、
僕は、毎日、
「かわいい。愛しているよ」って
言いました。
彼女は、僕の愛した猫だったんです。
そして、
人間の女の子に生まれ変わって、
僕のお嫁さんになってくれるって、
約束でした。
そういう経験すべてを
含めて、
僕らは、僕らなんです。
この身体だけでは、
ないわけです。
ですから、
0になんか、なるわけが
ないんです。
the end
最後まで読んでくださって、
ありがとうございました![]()
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