石なんて、何も考えていないと、

思っていました。

 

でも、石と、話してみると、

考えていなかったのは、僕の方でした。

 

だって、石の話が、むずかしいんです。

 

もしも、よ?

 

もし、あなたが、今、

夢の中にいるとして、

この世界って、あなたの外にあるの?

 

僕は、痛みで、転げ回ったときのままに、

空を見上げます。

 

空は、どこまでも空です。

 

夢になんか、見えません。

 

・・・・・夢とは、思えない

 

それは、思えないって、思っているのよ

 

だったら、夢には見えない

 

それも、見えないって、思っているだけ

 

どうして?

 

頭が固いからよ

 

そう言っているのが、石の女です。

 

もし、頭がやわらかかったら、

もしも?って考えられるでしょ?

 

もしも、今、

夢だったら?って考えるのか?

 

首がない顔で、うなずくので、

石が、グラグラと動くようです。

 

石に、頭が固いと言われるのが、

悔しいので、考えてみます。

 

・・・・・もし、これが夢なら、

みんな、夢だよ

 

だったら、外なんて、ないでしょ?

 

夢なら、ね

 

その夢は、どこから来るの?

 

眠りだろ

 

どこへ戻るの?

 

やっぱり、眠りだろ。

 

夢なんだから

 

でも、夢は、できるだけ、

夢で、いようとし続けるの。

 

眠ると、終わっちゃうと、

思っているから

 

夢は、終わるよ

 

何度でも、生まれて来るのに?

 

輪廻転生みたいにか?

 

大きくうなずいて、

頭が落ちそうになります。

 

外を、作ったのは、

眠らないようにするためなの。

 

だって、眠りの中には、

外は、ないから。

 

ひとつだから

 

夢が、眠らないようにするのか?

 

石の女が笑います。

 

おかしいでしょ?

 

もともと、夢は、眠りなのに。

 

そんなおかしいことを、

夢は、しているの。

 

夢は、眠りを怖れているから

 

夢が、眠りを怖れている?

 

怖れているのよ。

 

それで、なんとか生き残ろうとして、

自分の輪郭を作ったの。

 

つまり、外側を作ったの。

 

外側があれば、

自分の輪郭が描けるでしょ?

 

輪郭があれば、守ることができる

 

いつの間にか、僕は、真剣に、

石の女の話を聞いています。

 

でも、石の女が話すのを、

聞いているって、夢のようです。

 

 

ー つづく ー

 

 

 

眠りには、輪郭はありませんウインクラブラブ