石の女が、僕を指さして、

頭が固い」って笑います。

 

石の女は、身長が60cmくらいで、

ずんぐりむっくりしていて、

首がありません。

 

肩の上に、いきなり顔があって、

そんな顔で、笑います。

 

つい、腹が立って、殴ったんですけど、

指まで骨折しました。

 

僕が、病院の前で、痛みで、転げ回ると、

石の女は、大笑いです。

 

踊るように、足を踏み鳴らして、

カン!カン!笑います。

 

僕は、体中、骨折しているのに、

病院の中にも、入れません。

 

休診日だからです。

 

自動ドアが開かないんです。

 

ほかの入り口を探したら、

いいんでしょうけど、

脚も、骨折しているので、歩けません。

 

それに、石の女だって、

ガラスドアをすり抜けたんです。

 

普通、石をぶつけたら、

ガラスは、割れます。

 

石の女は、岩ほどあるので、なおさらです。

 

どうやって、通り抜けたんだ?

 

だって、同じだもの

 

同じって?

 

私と、ガラス

 

全然、違うよ

 

それが、頭が固いってことなのよ。

 

違うってことは、

外があるってことでしょ?

 

外がなければ、違いはないもの

 

石の女が言っていることも、

僕には、まったくわかりません。

 

僕が、まったくわかっていないことが、

石の女には、わかるようです。

 

それで、諭(さと)すように、

話してくるんですけど、

僕の方が、石にでもなった気持ちがします。

 

いい? 

 

夢の中の石と、

夢の中のガラスの違いって、何?

 

石の夢と、ガラスの夢って、ことか?

 

そうよ

 

どちらも夢だよ

 

だったら、違いはないでしょ?

 

夢なら、・・・でも

 

現実は、夢ではありません。

 

だったら、あなたは、どこから来たの?

 

どこから?

 

じゃ、どこへ戻るの?

 

どこへ?

 

この世界を、外に置いているのは、

あなたなのよ?

 

石の女の話を聞いていたら、

なぜだか、僕ひとり、ぽつんと、外に、

置き去りのような気持ちがします。

 

どうして、

こんな気持ちになるんでしょうか?

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

そんな気持ちになるのは、

真実を知っているからですウインクラブラブ