やっと病院まで来たのに、休診日です。
ですから、大きな自動ドアは開きません。
でも、龍と石の女は、
開かない自動ドアを通り抜けました。
大きな病院なので、中に入れれば、
緊急外来患者のための医師がいるはずです。
「わかった!
このガラスドアを通り抜けられたのは、
龍の力だ!」
それで、龍に、お願いします。
「どうか、僕も、中に入れてください」
龍は、快く承知してくれます。
それでも、今度は、石の女の後ろに乗ります。
これなら、たとえ、ぶつかっても、
石の女が、
ガラスドアを割ってくれるはずだからです。
ところが、また僕だけ、激突して、
転げ落ちました。
もう、本当に、死にそうです。
出て来た龍たちに、文句を言います。
「どうして入れてくれないんですか?」
「入ろうとしないのは、あなたでしょ?」
「入りたいですよ!」
「だったら、なぜ、外にいるの?」
「入るためには、龍の力が必要でしょ?」
「そう思っているから、入れないのよ」
「だったら、どう思ったらいいんですか?」
「中にいるって思ったらいいのよ」
龍が、そう言うんですから、
そうなのかもしれません。
それで、もう1度、
背中に乗せてもらいました。
また激突です。
龍と、石の女は、大笑いです。
「あなた、頭が固すぎるわ」
その頭を、ガラスドアに何度もぶつけて、
僕は本当に死にそうです。
「どうやったら、中に入れるんですか?」
「あなたは、
外にいると思っているんでしょ?」
「外に、いますよ!」
「外なんて、ないのよ?」
「ありますよ!」
「だったら、夢は、眠りの外にあるの?」
「はぁ?
僕は、現実の話をしているんですよ?」
「現実って、
外があるって思っている世界のことでしょ?」
「思っているんじゃなくて、あるんです」
「その外って、どこにあるの?」
「僕の外側です」
「だから、あなたは、中に入れないのよ。
外があるって、思うのは、
外にいるって、ことだからよ」
龍の言っていることがわからないのは、
僕の頭が固いってことなんでしょうか?
ー つづく ー
外側があったら、
ONENESS(ワンネス)は
ありません![]()
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