水の中を覗き込むと、
泡に揺れながら、
彼女が、水の底へと沈んでゆきます。
でも僕は、
バケツの水を引っ繰り返しただけです。
それなのに、
彼女は沈んでしまったんです。
教室なのに、です。
沈んでゆくのは、
たぶん、
重い段ボール箱を抱えているからです。
僕は、彼女に、ずっと、
片思いしていました。
卒業したら、
もう会えなくなるかもしれないって、
胸を痛めていたんです。
僕は、
あわてて、学生服を脱ぎ捨てると、
パンツ1枚で、
教室に出来た水たまりの中へと、
飛び込みます。
沈んでゆく揺れるスカートと、
白い脚を、追いかけます。
潜って行くにつれて、
Hな気分です。
水が、
まとわりついて、
夜の闇の中を、
追いかけているような気持ちになります。
学生服を脱ぎ捨てて、
パンツ1枚に、
なっているせいかもしれません。
それに、
普段の生活では、
なかなか、
揺れるスカートと脚だけを見て、
追いかけたりしません。
彼女のパンティーも、チラチラ見えます。
彼女が、底に着いて、
やっと僕は追いつきます。
彼女は、
パンツ1枚の僕が、
突然、
目の前に降りて来て、
ギョッとします。
僕だって、
片思いしている女の子の前に、
パンツ1枚でなんか、
立ちたくなかったです。
すぐ、謝ります。
「ごめんよ。
つい、うっかり、
バケツを引っくり返しちゃったんだ」
彼女は、見回しています。
「すごい水の量ね。
もしかして、
わたしのことが好きなの?」
僕は、うろたえます。
どうしてバレたんだろ?って
思ったんです。
「バケツ1杯の
水のはずなんだけど・・・・」
彼女は、うれしいように、
水の深さを見上げています。
バケツを引っ繰り返して出来た
水たまりの水面が揺れて、
太陽のように、
白く輝いています。
僕は、揺れる光を浴びている、
彼女の横顔が、
カワイイと思っています。
こんなふうに、
2人きりになれただけでも、
幸運です。
ー つづく ー
水の底なんですけどね![]()
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