こんなに美人なのに

 

 

 

 

 

たぶん、彼女は、僕を、彼氏だと、

勘違いしています。

 

 

それで、交通量も多い通りの、

歩道で、

僕に抱きついています。

 

 

歩道を行く人たちも、見ますし、

行き交うクルマの中からでさえ、見ます。

 

 

僕は、恥ずかしいです。

 

 

彼女が、人目をはばからず、

幸せそうに、僕に抱きついて、

笑っているからです。

 

 

僕は、彼氏じゃないのに、です。

 

 

それで、僕は、笑っている彼女に

頼みます。

 

 

どこか、行きましょ?

 

 

彼女が、僕を見上げて、

さらに笑います。

 

 

真っ白い歯に、

ピンク色の唇が、美しい光の輪のように、

広がります。

 

 

喜んでいるんです。

 

 

どこ?

 

 

ここは、人目があるから

 

 

じゃ、ホテル?

 

 

そういう意味じゃないですよ!

 

 

ところが、

彼女、僕の首に、腕を回します。

 

 

キスして来そうな勢いです。

 

 

僕は、

ホテルじゃないって言ったんですよ?

 

 

ホテルって言葉に、

そこら中の人たちが、振り向きます。

 

 

言った僕まで、顔が赤くなります。

 

 

ところが、彼女は、

赤くなった僕を見つめて、

愛おしくてたまらないようです。

 

 

飛びついて、笑います。

 

 

僕の腰に、脚を絡(から)めます。

 

 

脚を絡めて、抱きついて、

しがみつきます。

 

 

いくら細身の女性だからって、

足まであげて、抱きつかれたら、

軽くはないです。

 

 

こんなに美人なのに、

そんなことをするんです。

 

 

僕は、倒れないように、

必死です。

 

 

それで、よろめきます。

 

 

こんな人通りの多いところで、

何やってるんだろ?って

困惑しているんです。

 

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

 

 

いきなり、そんなことをされたら、

困惑しますよねウインクラブラブ