でも、僕の中に、世界があるとは、

思えないよ

 

 

自分の思い通りにならないのが、

世界だからです。

 

 

すると彼女が、キスしては、

僕を見つめます。

 

 

わかった?って見つめるんです。

 

 

もちろん、全然わかりません。

 

 

・・・・何か、言いたいの?

 

 

だって、キスって、外には無いでしょ?

 

 

そうかな?

 

 

何度も、キスしてきます。

 

 

わかるまで、してくれるみたいです。

 

 

たしかに、キスは、

僕の感覚の中にあります。

 

 

もし、

感覚の外にあったら、

僕には、

キスしていることも、わかりません。

 

 

・・・・でも、キスしたいからって、

いつだって、できるわけじゃないから

 

 

そういう音楽を創っているのよ

 

 

僕が?

 

 

また、彼女が首を横に振ります。

 

 

音って、現れては、消えるでしょ?

 

でも、消えるんじゃなくて、

存在に戻るだけなの。

 

それなのに、消えるって怖れている。

 

その怖れが、この世界を創っている。

 

あなたを創っているの

 

 

僕を?

 

 

だから、思い通りにならないの。

 

あなたは、

思い通りにはならないっていう思いだから

 

 

僕って、思いなの?

 

 

思いだって、現れては、消えるでしょ?

 

 

僕は、消えないよ

 

 

消えないんじゃなくて、

消えたくないの

 

 

もちろん、消えたくないです。

 

 

この世界は、そういう音楽なの。

 

外にあると思うから、

音楽だってわからないの

 

 

だって、外にあるよ

 

 

すべては、振動なんだってば。

 

音なのよ。

 

音に、外なんてないでしょ?

 

 

たしかに、音の外なんて、

聞いたことないです。

 

 

ーつづく ー

 

 

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