劣等感の塊です

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちが、

水浴びをしに降りて来る滝があります。

 

 

滝の水を浴びたり、

滝壺で泳いだりしています。

 

 

 

 

間近で見れるので、

物陰に隠れて、

覗きます。

 

 

数人で来て、

水と戯(たわむ)れている彼女たちは、

本当に楽しそうです。

 

 

幸せを絵にしたようです。

 

 

つかまえて、

力尽くで交尾してもいいんですけど、

飛べない無能さを晒(さら)す方が、

苦痛です。

 

 

さらに蔑(さげす)まれるだけです。

 

 

飛べないって、

本当に惨(みじ)めです。

 

 

劣等感の塊(かたまり)です。

 

 

そんなある日、

ひとりで水浴びしていた女性が、

四つ足で這うものに、

襲われました。

 

 

まさか、僕のほかにも、

物陰に隠れて、

覗いていたものがいたとは、

気づきませんでした。

 

 

僕は、滝壺へと飛び込みました。

 

 

四つ足で這うものは、

僕らの2倍くらいあります。

 

 

彼女の腹部に食らいついています。

 

 

僕だって、食らいつきたいです。

 

 

そんな悔しさもあって、

四つ足で這うものと、

格闘しました。

 

 

こんな奴に、こんな美しいものは、

やりたくないって死に物狂いです。

 

 

ところが、意外と、あっさり、

逃げて行きます。

 

 

でも、彼女は、腹部が、

噛まれて、血だらけです。

 

 

痛みに、呻いています。

 

 

それで、僕は、

近くの洞穴(ほらあな)まで、

彼女を運びました。

 

 

僕が怪我したときは、

自分で舐めて、治します。

 

 

それしか、治し方を知りません。

 

 

それで、舐めました。

 

 

もちろん、舐めたのは、傷だけです。

 

 

 

ー つづく ー




地球の話ではありません。


人間たちが浮いて、

飛んでいる星での話ですウインクラブラブ

 

 

 

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