主人公は、高校1年生の男の子ですウインクラブラブ

 

透きとおってみると

 

 

 

  

山の中です。

 

 

真っ暗で、何も見えません。

 

 

自分さえ見えません。

 

 

僕という輪郭を失っています。

 

 

存在だけの僕です。

 

 

輪郭がないために、

山に溶けます。

 

 

その山々の存在感がすごいです。

 

 

真っ暗で怖いはずなのに、感動しています。

 

 

すると、

キラキラ光るものが、近寄って来ます。

 

 

 

 

 

その光で、道が見えるほどです。

 

 

見ていると、女の人です。

 

 

幼かったころ、近くの神社で、

よく遊んだ女の人です。

 

 

まさか、こんな所で、再会するとは、

思いませんでした。

 

 

引っ越したの?

 

 

結婚の約束をしたとたん、

いなくなってしまったからです。

 

 

女の人は、

光を撒き散らしながら、笑っています。

 

 

待ってるって言ったでしょ?

 

 

どこで?

 

 

だから、会いに来てくれたんでしょ?

 

 

僕が?

 

 

だから、透きとおったんでしょ?

 

 

山々も透きとおっています。

 

 

地球も透きとおって、

宇宙も透きとおっています。

 

 

どこまでも透きとおっているんです。

 

 

わたしは待っていたのよ?

 

 

ここで?

 

 

女の人が、笑います。

 

 

どこかに行ったと思ってたのね?

 

だから、見つからなかったのよ

 

 

透きとおってみると、

分離のないってことが、

わかります。

 

 

僕らは、ひとつでした。

 

 

もともと、結ばれていたんです。

 

 

透きとおっていなかったので、

気づけないでいただけなんです。

 

 

 

 

ジャリ、ジャリ、音がして、

眩しい光に照らされました。

 

 

クルマのヘッドライトです。

 

 

止まったクルマから、降りて来たのは、

勇吉さんでした。

 

 

こんな所にいたのか?

 

探したぞ?

 

怪我してないか?

 

 

時刻は、深夜の1時を過ぎていました。

 

 

こんな時間まで、探してくれたらしいです。

 

 

大変だったはずです。

 

 

ごめんなさい。

 

道に迷っていたんです

 

 

勇吉さんは、ほっとしています。

 

 

無事で、よかった。

 

どこかで、

事故でも起こしているんじゃないか?

って探したんだよ。

 

こんな山の中、ひとりで、不安だったろ?

 

 

女の人と一緒でした

 

 

女の人?

 

どこ?

 

 

探したけど、いません。

 

 

神様かも・・・・

 

キラキラ光っていたから

 

 

守ってくれたんだな

 

 

でも、勇吉さんも、聖子さんも、

キラキラ光っているんです

 

 

勇吉さんが、意外そうな顔をします。

 

 

オレたちが?

 

 

九州の自然が好きでしょ?

 

 

生まれて、育った土地だからな

 

 

それで、つながっているんですね

 

 

勇吉さんは、ん?って顔なんですけど、

透きとおってみたら、

それが、わかったんです。

 

 

存在は、どこまでも、ひとつです。

 

 

ひとつでないと思っているのは、

分離しているって思っているってことです。

 

 

思いだけが、

つながっていないわけです。

 

 

それで、輝けないんです。

 

 

僕には、これまで、

つながっているって思いは

ありませんでした。

 

 

都会で、生まれ育ったせいかもしれません。

 

 

今回の旅で、つながることを、

覚えました。

 

 

つながっているって思うことが、

1番大事だって、わかったんです。

 

 

 

勇吉さんのクルマの後を、

バイクで追いかけます。

 

 

クルマのヘッドライトが

照らしてくれるあとを、

走っていると、

勇吉さんとも、

つながっている感覚がします。

 

 

僕は、バイクを走らせながら、

泣きました。

 

 

勇吉さんに申し訳なかったという思いと、

つながっているって思うことへの

感動のためです。

 

 

この旅は、つながるための旅でした。

 

 

僕らは、あらゆるものと、

ひとつです。

 

 

透きとおると、ひとつだとわかるんです。

 

 

ひとつでなかったのは、

透きとおっていなかったからでした。

 

 

僕の思いだけが、

透きとおってなかったんです。

 

 

つながろうとしてなかったってことです。

 

 

 

the end

 

 

 

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最後まで読んでいただきまして

ありがとうございましたウインクラブラブ