結婚しました
重吉は25歳のとき、結婚します。
相手は、先輩消防士の妹さんでした。
火の女に恋していたのに、どうして人間の女と結婚したのか、実は、1番悩んだのが、重吉でした。
消防士って、仲間と、同じ釜の飯を食べます。
一緒に寝泊まりするんです。
そして、火災現場では、命綱を託(たく)します。
生命の危険の中で仕事するので、仲間は、特別な存在です。
その先輩消防士に勧められたというのが、1番の理由でした。
まさか、火の女に恋しているので、結婚できないとは言えなかったんです。
ところが、そのことに、桂子(妻)が気づきます。
重吉に、ほかに女がいるって、気づくんです。
仕事で、火災現場に行っただけなんですけど、桂子には、浮気現場に行ったと、わかるわけです。
消火したあとの疲れが、ほかの女を抱いたあとの疲れだと、わかるんです。
実際、桂子は間違っていないので、重吉は、女の勘の鋭さに、舌を巻きます。
それで、責められて、とうとう重吉は白状しました。
「俺には、火が、女に見えるんだよ。
火の女には、この世界が暗闇に見えるらしい。
それで、明るく照らしたいらしい。
ところが、明るくしようとすれば、するほど、何かを燃やしてしまうんだ。
それで、苦しんでいるんだよ」
最初、桂子は信じられませんでした。
でも、何度聞いても、答えが同じです。
それで、重吉と、一緒に考えてあげることにしたんです。
ー つづく ー
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