僕らは、ひとつです

 

 

 

 

 

 

彼女が帯びを解(と)いて、横になったので、僕も、横になりました。

 

 

僕らは、唇を重ねます。

 

 

やわらかな触れあいで、神秘の言葉で、語り合っているかのようです。

 

 

唇だけでも、もう、僕らは、ひとつです。

 

 

彼女の中へと、入っていくのも、僕が、僕では、なくなっていくことです。

 

 

ところが、普通、縦に揺れますよね?

 

 

なのに、なぜか、横に揺れるんです。

 

 

横に揺れるんで、入れづらくって仕方ないです。

 

 

目を開けてみると、揺らしていたのは、友だちでした。

 

 

梅林の中にいます。

 

 

空になった一升瓶が転がっています。

 

 

どうも10年間の夢を、見ていたらしいです。

 

 

僕は、激怒です。

 

 

なんで、いいところで、起こすんだよ!

 

 

目を覚ますなり、いきなり僕が怒っているので、友だちは、呆気(あっけ)に取られています。

 

 

いいところって、何だよ?

 

 

寒くなって、帰ろうと思って、起こしたんだけど、起きないんで、心配してやってたのに・・・

 

 

残念だけど、彼女は、来なかったな

 

 

 

夕焼けの空が、紅く染まって、紅梅の花のようです。

 


来たよ

 

 

友だちは、驚いています。

 

 

来た?

 

 

それで、巻物は読めたのか?

 

 

読めたよ

 

 

何が書かれてあった?

 

 

この世界を救うには、あらゆるものから、同じ所にいろって書かれてあった

 

 

どういう意味だよ?

 

 

おまえも、神様ってことだよ

 

 

僕は、立ち上がると、紅梅の花に、手を合わせました。

 

 

 

 

すると、花びらが、帯を解いたように、散ったんです。

 

 

 

おわり

 

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございましたウインクお願い

 

 

 

 

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