絵の才能があったら
僕と彼女は、右、左の、ペダルに分かれて、大きな自転車を漕いで、楽しいです。
それぞれ、ひとつのペダルに乗って、体重をかけて、漕ぎます。
左右と、前後で、違いますけど、トロッコを、漕ぐ感じです。
でも、右、左に、分かれているんで、回っている独楽(こま)のように、揺れて、走ります。
こんなこと、絶対、ひとりじゃ、できません。
彼女が、ペダルを下に押しやると、僕の身体が、上へと上がります。
それで、僕も、ペダルを、思いっきり下へと、下ろします。
すると、彼女が上へと、上がって行くんですけど、とても幸せそうです。
彼女、僕の絵が下手なせいで、スゴく醜いんですけど、それでも、彼女が幸せそうなのは、僕まで幸せにしてくれます。
自転車が、とても大きいので、ひとりじゃ乗れないし、息が合った人でなければ、乗れません。
そういう意味では、彼女はベストです。
ただ、僕の絵が下手なせいで、カワイクないです。
カワイクないって言っても、ちょっとや、そっとじゃ、ないんです。
僕の絵が想像を絶する下手さですから、想像を絶するカワイクなさです。
言って置きますけど、彼女が悪いんじゃないんですよ。
悪いのは、僕の絵の下手さなんです。
僕に、絵の才能があったら、彼女を、カワイク描いてあげれたんです。
そういう意味では、彼女に、限りなく、申し訳なく思っているんです。
ー つづく ー
お読みいただいて、ありがとうございます![]()
![]()

