いつか、一緒に

 

 

 

 

 

 

 僕は、銭湯の出口で、運命の女(ひと)を待ちながら、心の壁を、乗り越えようとしていました。

 

 

 彼女と、結ばれたかったからです。

 

 

 そのとき、銭湯の前の、うどん屋が目に入りました。

 

 

  

 

 

 お爺さんとお婆さんがやっているうどん屋です。

 

 

 お爺さんも、お婆さんも、良い人なんですけど、うどんが、美味しくないです。

 

 

 僕は、まだ見習いなんですけど、日本料理の店で働いています。

 

 

 それで、どうせ、彼女を待つなら、美味しいうどんを作って、待とうと思いました。

 

 

 それなら、お爺さんも、お婆さんも、助かるし、いつか、彼女も、うどんを食べに、店に寄ってくれるかもしれません。

 

 

 それで、うどん屋に入って、働かせてほしいって頼みました。

 

 

 お爺さんも、お婆さんも、大喜びです。

 

 

 「開店の準備で、忙しかったんで、孫娘に、手伝いに来てもらっていたんだよ。

 

 

 あんたが、ここで働いてくれるんなら、助かるよ

 

 

 「孫娘さんは?

 

 

 

 「店が落ち着いたんで、お風呂に入っておいでって、行かせているんだ

 

 

 ところが、その孫娘さんが、店に戻って、僕を見て、びっくりしているんです。

 

 

 「痴漢がいる!

 

 

 孫娘さんの話によると、男湯と女湯の壁を乗り越えて、入って来た男がいたらしいんです。

 

 

 僕は、自分で、壁を乗り越えて行ったんです。

 

 

 僕は、謝りました。

 

 

 「運命の女(ひと)を見つけたくて、壁を乗り越えたんです

 

 

 「あの壁は、乗り越えなくても、よかったんじゃない?

 

 

 「でも、僕みたいなブサイクは、壁を乗り越える必要があったんですよ

 

 

  僕は、孫娘さんに、僕が作ったうどんを食べてもらいました。

 

 

  孫娘さんは、美味しい!って、喜んでくれました。

  

 

 「私は、カッコいいだけの男の人より、こんなふうに、うどんが美味しく作れる人の方が好きよ?

 

 

 「もしかして、女湯で、僕をキャッチして、投げ返してくれたのは、あなたですか?

 

 

  孫娘さんが、笑っています。

 

 

  やっぱり、この孫娘さんが、僕の運命の女(ひと)でした。

 

 

  いつか、この孫娘さんと、一緒に、このうどん屋を、やっていけたらいいです。

 

 

  きっと、世界って、ひとつじゃないです。

 

 

  世界と、世界の、壁って、自分の心の壁です。

 

 

  ですから、心の壁を乗り越えようとすれば、違う世界へと、入って行けるんです。

 

 

  もし、今、あなたが、苦しんでいるとしたら、それは、その世界にいるってだけです。

 

 

  世界は、絶対ではないし、ひとつでも、ないです。

 

 

  違う世界へ、行ったらいいです。

 

 

  その世界に、自分を閉じ込めているのは、自分だからです。

 

 

  世界って、あなたの思いです。

 

 

  ー おわり ー

 

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございましたウインクお願い

 

 

 

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