運命の女

 

 

 

 

 

 

 

 男湯へと投げ返された僕は、壁に当たって、湯舟に飛び込みました。

 

 

 飛沫(しぶき)が上がって、みんなが、怒っています。

 

 

なんで、風呂場で、キャッチボールなんかしているんだ?

 

 

 僕は、頼みました。

 

 

女湯に、僕を投げ込んでくれませんか?

 

 

女湯と、キャッチボールしてたのか?

 

 

彼女が見たいんです

 

 

そりゃ、オレだって見たいよ

 

 

運命の女(ひと)かもしれないんです

 

 

 僕が必死にお願いしたら、わかってくれたようです。

 

 

それなら、応援しよう

 

 

 そう言うと、お湯にぷかぷか浮いていた僕をつかんで、女湯へと、投げてくれたんです。

 

 

 僕は、彼女を見つけようとするんですけど、ただでさえ裸の女の人ばかりなので、かえって目が回るばかりです。

 

 

 ところが、僕が、女湯の床に跳ねると、女の人たちが、キャーキャー叫んで、盥(たらい)や椅子で、僕を叩くんです。

 

 

 それで僕は、あっち、こっちと、跳ね回ります。

 

 

   

 

 

 でも、僕が見たいのは、さっき、僕をキャッチしてくれた彼女の顔です。

 

 

 誰だか、知りたいんです。

 

 

 それなのに、僕は、そこら中で、叩かれて、跳ね回っているんです。

 

 

 痛くて、たまりません。

 

 

 頭なんか、瘤(こぶ)だらけです。

 

 

 でも、これ、カッコいい男の人でも、こんな目に遭うんでしょうか?

 

 

 そしたら、たぶん、彼女だと思うんですけど、僕を助けるようにキャッチすると、男湯へと、投げ返してくれたんです。

 

 

 僕は、必死になって、彼女の顔を見ようとしたんですけど、ボールは回転するんで、見えないんです。

 

 

 

  ー つづく ー

 

 

 

 お読みいただいて、ありがとうございますウインクお願い

 

 

 

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